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コスパ重視、職場で「ファスト・スキル」求める若者 働く若者が抱える「挑戦と保身」のジレンマ

東洋経済オンライン / 2024年3月13日 15時0分

検証してみよう。

確かに、今の若者にとって、長引く低成長の日本に対する期待感の低さや諦念感は強い。

また、先のパーソル総合研究所の調査では、「上の年代と比べ、従来の企業従属型ではなく主体的なキャリア形成を目指す価値観を身に付けている」と解説されている。

もし仮に、本当に多くの若者がそう考えているのだとすれば、もっと大勢の若者が日本を離れてしかるべきだ。大学に勤めている人間ならよくわかることだが、昔と比べて今の大学では海外留学支援の機会は多い。

にもかかわらず、そんな支援に学生が殺到している、といった状況を聞いたことがない。むしろ、支援提供者たちの方が、積極的に人集めしている印象だ。

もし仮に、パーソルの調査結果が言うように、多くの若者が日本や企業の未来に期待せず、主体的なキャリア形成を目指しているのなら、もっと元気でチャレンジ精神を持った若者が世に溢れていてしかるべきだ。

固定化された既存企業を破壊対象と見なし、新たなビジネスを仕掛ける若者が席巻してもおかしくない。だが現実としては、そのような若者はほんの一部に留まる。

簡単ではあるが、僕の中で検証した結果、導き出された考察はこうだ。今の若者は、多くの矛盾を内包したまま生きている。

今の若者を特徴づける4つの事実

彼らが、長引く低成長の日本の未来に危機感を感じていることは事実。

先輩世代と比べ、主体的なキャリア形成が大事だと思っていることも事実。

それと同時に、正解主義で、いち早く皆が思う答えを知ろうとすることも事実。

リスクの伴ったチャレンジはせず、周りの様子ばかりうかがった行動をしているのも、やはり事実なのだ。

このように、一見相反するような概念を、今の若者は抱えたまま生きている。特に強いギャップとして存在しているのが、彼らの「認識」と「行動」の矛盾だ。

上で述べた4つの「事実」のうち、前者の2つは認識に関するもので、後者の2つは行動に該当する。

主体性が大事だと認識しつつ、自らチャレンジはしない。日本の未来に危機感を持ちつつ、行動は控えめで横並びの正解主義。

これでは、先輩世代の皆さんが混乱するのは当然だ。この「矛盾を内包する若者たち」は、現在、多くの調査結果において観測されていて、 僕も引き続き深耕したいと考えている。

金間 大介 :金沢大学融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授

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