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「管理職目指す女性が少ない」日本が直面する現実 DeNA南場会長とハイセンスジャパン李社長対談

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 12時30分

自分の両親の介護の問題があるときに、夫の両親も具合悪くなって。そんなタイミングで管理職になっちゃった。全部は無理って。それは人として選択しなければいけないときもありますよ。

昇進が遅れても、親の面倒をみたいとか、みないといけないとか。せっかくチャンスが訪れたから、経済的に豊かであれば(親を)別の人に見てもらってチャンスを取ることもできるけど、そんなにうまくいかないこともある。

――一度レールを外れても、追いつける社会だったらいいですよね。

南場:そう、1回パスを外れたらもう駄目とか、そういう社会はよくないですね。そしてそういうのが性別によって起こるのがよくない。男性だって起きていますよ。

脂が乗ってきて、希望していた海外プロジェクトに行けるってときに、家族が病気になっちゃうとか。連れて行けないとか自分が行けないとか、全部取ることができない。

問題はジェンダーが理由で諦めないといけない、チャンスが少ないってのは成熟した社会ではあってはいけないということだと思います。

――李さんは、家族の後押しを得て海外で社長をされているわけですが、日本で働いているときにご主人が亡くなりました。

李:夫は仕事があったので中国で生活していました。そして2019年、46歳のときに心筋梗塞で突然死しました。

その10年前から糖尿病で闘病していたけど、普通に仕事もしていたし、まさかこんなに急に亡くなるとは思わなかった。まったく心の準備ができていませんでした。

夫は何でも話せる唯一無二のパートナーでした。離れて暮らしていたけど、しょっちゅう行き来していたし、会えないときはテレビ電話で毎晩仕事や家族のことを話して、助言をくれたり寄り添ってくれました。

夫が亡くなってからは、精神的にもつらく崩壊寸前でした。10歳の娘は私のこのつらさを全部はわかってくれない。誰もこの苦しさをわかってくれないと追い詰められました。

それでも日々仕事はある。こんな状態では社長の重責を担えないと思い、日本の社長を辞任したいと本社に申し出ました。

人生は山登りのようなものだ

――それで辞められた?

李:いえ、今のハイセンスグループの会長が「仕事をプレッシャーに感じることはない。成果を上げようと頑張らなくていいから」と引き留めてくれて、その後も気にかけてくれました。

私も日本が大好きで、日本を離れたいとは思っていなかったので、少し気が楽になって、そこから運動をしたり、娘が大きくなって私の気持ちを理解してくれるようになり、最近ようやく生きていることの幸せを感じられるようになりました。

仕事の能力に男女差や国籍の差はないですが、管理職や企業のトップを目指す道のりで家庭や個人の事情と板挟みになることはあります。

人生って山登りのようなもので、途中でもう登れないとくじけそうになっても、家族や同僚、日本の取引先など周囲の人々に支えてもらって、私は降りなかったから新しい景色を見て「登り続けてよかった」と思う日が来た。夫の話もこうしてできるようになりました。

人の潜在能力は無限だと思っています。自分に制限をかけなかったら、新しい景色を見られると信じています。

(後編に続く)

後編は3月15日に配信予定です

浦上 早苗:経済ジャーナリスト

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