「恋空」のスターツ出版がスゴいことになっていた チームで作る穏やかな風土で、売上が5年で5倍超に
東洋経済オンライン / 2024年3月15日 12時0分
――なるほど。具体的にどのような取り組みをやられているのでしょうか。
菊地:「シャッフルランチ」という部署横断のランチ会や、ノウハウ共有を目的に、若手が講師になる「私たちの仕事セミナー」など、そういうことをしょっちゅうやっています。
20年間継続している、全社員が1泊2日でさまざまなアクティビティを体験する社員旅行「モアジャム」など、僕はそうしたイベントに一番エネルギーをかけている(笑)。
出版に限らず多くの会社が、自分の部署の小さな世界の中だけで、黙々と仕事をしていることが多いと思います。隣の部署の人たちは何をやっているのかさっぱりわからない……そんな現実があるのではないでしょうか。
でも、そういう部署の垣根を取り払って、隣の部署、あるいはまったく違う部門の人たちと仲良くなれば刺激があるし、新しいものが生まれるし、つらいときには相談に乗ってもらえる。なにより会社が好きになって、仕事も楽しくなると思います。
――たしかに、いろんな人と話すことで、新しいアイデアは生まれますよね。
菊地:会社で働くって面白いよね、と思ってもらいたい。それが人生の大きな要素ですから。もちろん、楽しいことばかりだけではダメだけど(笑)、でも、たまに思いっきり楽しい思いをしてもらえば、日々の仕事は自然とみんな一生懸命になり、結果として数字もついてくるんです。
――こうした取り組みはどういう経緯で始まったのでしょうか?
菊地:当初はスターツ出版も、よくある普通の中小出版社だったんです。でも、「このままだと成長はない」と思い、社員同士のコミュニケーションを活発にしようと。
でも、最初はこの取り組みには反対が多かったんです。当時は「みんなでキャンプなんて、誰も来ませんよ」と言われて。そこで、それぞれの部署の一番若手のメンバーをレクリエーション委員会という形で組織して、その子たちに企画を考えてもらって、彼らが中心となって呼びかける形で始めました。
円滑な社員コミュニケーションで業績アップ
――ボトムアップで盛り上がる企画にしたわけですね。
菊地:そうです。上から押し付ける形は良くない。社員旅行ではたくさんのアクティビティを用意していますが、イベント企画はすべて、若手社員が中心になって実行してくれています。
それに、こうしたコミュニケーション活性化策の多くは、「スターツ出版未来プロジェクト」という社内コンペで生まれたアイデアです。社内コンペで、最終的に全員の投票で決まったのがこうした取り組みでもある。自分たちで決めたから、みんな参加する。
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