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天才「ガンディーニ」シャイな彼が残した遺言 ミウラやカウンタックを生んだデザイン哲学

東洋経済オンライン / 2024年3月15日 12時30分

「彼とは何時間でも語り合った。恐ろしいほど新しい技術に関する知識を持ち、アイデアに溢れていた。カウンタックは、シザースドア(上下に“ハサミ”のように開くドア)の採用など、ギミックに溢れていると称されることもあるが、あれはドライバーがクルマの前方に座るというミッドマウントエンジンの特製を生かすためのレイアウトへの必然から生まれたものだった」

さらにスタンツァーニは、「面白いエピソードがある」と次のように言った。

「あの大きく重いシザースドアを支えるダンパーなど、この世に存在しないから、『そのアイデアは実現不可能だ』という反対意見を述べたエンジニアがいた。すると数時間後に、その“大きなダンパー”を手にガンディーニが戻ってきた。彼曰く『航空機ではフツウに使われるパーツだよ』と。彼の幅広い知識には目をむいたものだ」

1971年のジュネーブモーターショーでデビューを飾ったランボルギーニ「カウンタックLP500」は、ガンディーニの代表作である。フロントからリアにかけて1本の線で描くことのできる「ワンモーション」プロポーションと、ドライバーが限りなく車両の前方に座る「キャブフォワード」のコンセプトは斬新そのものであった。

多くの方はご存じであろうが、カウンタック(日本語表記には多くの考え方があるが、“伝統的なもの”をここでは使用する)とは、ベルトーネの本社が位置するイタリア・ピエモンテ地方の方言で、「何だこれは!」というような驚きを表すコトバだ。

このクルマのスタイリングを目にした農夫が思わず発した、とされている。農夫にとって、UFOを目にしたようなものだったのであろう。思わず口から出たカウンタックは、まさにこのスタイリングにぴったりの単語ではないか。

現在もランボルギーニのスポーツカーは、ガンディーニがデザインしたこのコンセプトを継承しており、ガンディーニの手によるデザインDNAは今も重要な役割を果たしている。

彼のインタビューが難しいワケ

ガンディーニは、ベルトーネを辞したあともフリーランスとして多くの成果を残している。ヘリコプターの開発も行ったし、ガンディーニ・ジャパンが設立され、日産のコンセプトモデルを手がけたこともあった。

時代を造った天才の足跡を記録し、次世代へ伝えることをライフワークとしている筆者にとっても、彼の仕事をフォローすることは重要なテーマだ。一方で、それはなかなか難しい案件でもある。

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