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「唯一無二の量産型」という矛盾を内包する若者 リスクを負わず自分を差別化したい若者の生存戦略

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 14時0分

このエピソードのポイントは「今の若者はなるべく自分で決めたくない」という点にある。特に、他人が介在するような意思決定は避けたい。後で何と言われるかが怖いのだ(実際に言われることはないのだけど)。

ここからは「いい子症候群」の特徴をしっかりと説明したい。

僕は、2022年3月に出版した『先生、どうか皆の前でほめないで下さい:いい子症候群の若者たち』という本の中で、様々なエピソードやデータと共にいい子症候群について解説した。要約すると特徴は次の通りだ。

「いい子症候群の若者たち」の行動特性(その1)
・素直でまじめ
・一対一の受け答えはしっかりしている
・一見さわやかで若者らしさがある
・協調性がある
・人の話をよく聞く


・言われた仕事はきっちりこなす

こういった行動特性から、世間ではよく、最近の若者のことを「素直でいい子」「まじめでいい子」と評する。そのような姿勢から「今年の新入社員は優秀だ」と春から夏にかけて噂されることも、もはや毎年の恒例行事のようだ。

ただし、彼らは同時に次のような行動特性も併せ持つ。

「いい子症候群の若者たち」の行動特性(その2)
・自分の意見は言わない、質問もしない
・絶対「先頭」には立たず、必ず誰かの後に続こうとする
・学校や職場では横並びが基本
・授業や会議では後方で気配を消し、集団と化す
・場を乱さないために演技する
・悪い報告はギリギリまでしない

こういった極めて消極的な姿勢を伴うことから、「素直でまじめ」なのにもかかわらず、「何を考えているのかわからない」「自らの意志を感じない」といった不可解な印象を与える。

「いい子症候群の若者」と「消極的な若者」の違い

次の点は「いい子症候群」の大きな特徴なので、改めて強調しておきたい。

昔から消極的で主体性のない若者というのは存在した。彼らと「いい子症候群」とは何が違うのか。

それはキャラのわかりやすさだ。

かつての消極的な若者は「行動特性(その1)」のような振る舞いはあまりしなかった。一見しておとなしく、コミュ力が乏しいだろうことがすぐにわかった。

しかし今の「いい子症候群」は違う。一見、若者らしい前向きさがある。協調性があり、(表面的な)意欲も見せる。年配者はこれに騙される。そしてこう言う。

「今年の新人は優秀だ」

それではなぜ、今の若者はそんなわかりにくい行動を取るのか。その内面にはどんな心理が隠されているのか。それを端的に表すと次のようになる。

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