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「唯一無二の量産型」という矛盾を内包する若者 リスクを負わず自分を差別化したい若者の生存戦略

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 14時0分

「いい子症候群の若者たち」の心理特性
・目立ちたくない、100人のうちの1人でいたい
・変なことを言って浮いたらどうしようといつも考える
・人前でほめられることが「圧」
・横並びでいたい、差をつけないでほしい
・自分で決めたくない(皆で決めたい)
・自分に対する人の気持ちや感情が怖い
・自分の能力に自信がない

例えば、大学の講義で「何か質問はありますか?」と問いかけても、今の大学生からまず返答はない。自分だけが反応すると目立ってしまうからだ。

もしあなたが講義中に、一人の学生をほめようものなら、後で「皆の前でほめないで下さい」と言われることすらある。彼らは基本的に自己肯定感が低く、自分に自信がないため、人前でほめられることには「圧」を感じる。

集団の中でほめられると、自分に対する他者からの評価が上がり、期待されたり何かを任されたりするのではないかと思ってしまう。自己肯定感が低い若者にとって、これは恐怖でしかない。

「いい子症候群化」は社会現象

この「人前でほめられる」という行為に対する若者の評価を、僕の友人でもある長田麻衣さんたちが実際にアンケートで集計してくれた。

結果は下の図表8-1の通り。サンプル集団は、首都圏在住の18歳から26歳の社会人男女411人で、約6割の若者が「大勢の前では褒められたくない」と回答している。

首都圏限定というところにサンプルバイアスが生じているが、逆に言えば、直感的にいい子症候群気質が低そうな首都圏の若者でさえ、人前でほめられたいと思う若者は4割弱しかいないということがわかる。

このような現在の若者たちの特徴を前に、一部の人は「これは非常に大きな問題ですね」、「どのように解決すべきでしょうか」と僕に言う。拙著の出版以来、取材を受ける際のインタビュアーも、ほぼ必ずこの質問をする。

しかし、僕自身は、若者たちの「いい子症候群化」を問題だと考えたことはないし、そのように伝わってしまわないよう注意を払いながら話している。

予想ができる分、若手社員たちのマネジメントは楽だった。彼女はこっちの部署の若者のうち半数程度に見られる心理的特徴があり、そのこと自体に良いも悪いもない。彼ら個人からすれば、自己の幸福の追求のために取っている行動にすぎない。

「いい子症候群化」は社会現象であって、決して「日本社会の課題」といった表現は適さない。あえて言うなら、これは現在の若者たちの「自己防衛反応」ではないかと考える。

「唯一無二の量産型」という自己矛盾

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