ヒット連発「スターツ出版」読者に寄り添う凄み ケータイ小説から20年、今もファンを作れるワケ
東洋経済オンライン / 2024年3月18日 7時20分
菊地:口コミがどんどん広がるうち、TikTokのコメントで「これって本屋に売ってるの?」というものを見つけました。本屋に行ったことがないから、本屋でそれを売っていることも知らないわけです。
TikTokの投稿を見て、中高生たちがみんな本屋に来てくれる。書店さんに聞いた話では、中高生がお店に来て、TikTokの画面を見せて「これをください」と言ってくるそうです。本屋に行ったことがないから、本の探し方がわからず、そうするパターンが多いと。
――はじめての書店体験がスターツ出版文庫になっているわけですね。
菊地:そうですね。そして、「読んでみたら、とても面白かった。メチャ泣いた」という感想が多い。
例えば『すべての恋が終わるとしても ―140字の恋の話―』(冬野夜空)は、この何ページが私と同じだ、という感想がいろいろある。なおかつ、この本は行間が空いてて読みやすいので、他の本は読めないけど、これは最後まで読めると。
すると生まれて初めて単行本を1冊読み切ったという経験になるわけですよ。そこで初めて若い人たちが「紙の本っていいな」と思うようになる。
――TikTokを導線として、中高生の最初の読書体験が生まれているわけですね。
徹底したマーケティングの結果、生まれたスターツ出版文庫
――TikTokウケもそうですが、スターツ出版文庫では、本を読まない人をターゲットにしている意識はあるんですか?
菊地:いえ、そういうわけではありません。
ただ、大前提として、いわゆる「Z世代」と呼ばれている人たちに対して、どこの出版社も大きなチャレンジができていない現実があります。生まれながらにしてデジタルネイティブで、はなから本を読まない、と思い込んでいるからですね。
そこに注目しているのが、スターツ出版文庫なんです。その世代に刺さる内容やデザインを心がけています。編集・営業・Webサイトで徹底したマーケティングをする。前編でお話ししたように、作家さんと編集者が2人3脚でやっているので、読者に等身大の作品を作ることができるんです。
――なるほど。中高生をターゲットにするためにどのような取り組みをしているのでしょう。
菊地:10代の子の生活感や恋愛観を現場の編集者が一生懸命見ています。そもそも、うちは編集者のほとんどが20代なので、若い感性を持っている。それとSNSも毎日チェックして、Z世代の流行に、つねにアンテナを張っています。
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