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経営者だからこそ感じる「労働組合」の重要性 データ重視で失われた「対話」の共同体を求めて

東洋経済オンライン / 2024年3月18日 10時30分

同じように、経営者側もしんどいんだけど周りに相談できなかったり、公の場でしんどいって言っちゃうと株価が下がってしまったり、常に強い個人でいることを強いられてしまう。自己責任のイデオロギーで分断されて、誰も信用できない状態になっているのではないでしょうか。

日本の大企業のことを考えても、かつては下請けの中小企業を守るために国内の会社に仕事を回すことがあったわけですけど、グローバリゼーションによって工場は海外に移転して国内産業がどんどん空洞化している。日本の企業で確かに日本国に税金は払っているかもしれないけど、日本人を雇用してない。そういうことが起こってきていて、直接の対話とか人間同士の関係からは程遠い状況にある。それがこの失われた30年を回復させない一要因になってるような気がしています。やはりNPOでも経営者層と労働者側に分断があると感じますか。

経営者も感じる労働組合の重要性

今井:個人的には感じています。経営者は経営者で先ほども話があったと思いますが、グローバルな目線で社会がどうなっていくのか考えているので、社会の変化に敏感でリソースを多様な変化にさかなければいけない状態になっているような気がします。

例えば、生成AIなどの技術的な進歩や国内外の大きな変化などがありすぎて、経営者は国内の声だけを聞き取れる環境にないのかなと。働いている人とか支援現場も含めて、みんなとうまく対話をして組織をつくっていきたいから労働組合は大切だよって、個人的な意見として社内では言っているんです。自分でいうのもなんなんですが、経営者に労働環境改善を訴えることは大切だよ、と。

でも、国内じゃなくて世界の変化を見なければいけないという状況に経営者の頭の中は引き裂かれているのだと思います。その中で、うちのNPOでいうと寄付者さん数千人に支えられている、多くの個人や法人に支えられている組織なので、株式会社などの事業体と違って新しい動きをつくることができるかもしれません。NPOとして何ができるかってところはこの本を読みながらも未知数ですが、株式会社とか行政とは違った形で、労働者と対話的な環境をつくっていくことなのかもしれないです。

今井:学校法人とか社会福祉法人、労働組合などの組合系も、本来は非営利の活動なんですよね。弱い立場にある人とか働いている人のためにつくられたはずなんです。そこに立ち返って、対話的に組織を新しくつくっていくことに意味があるのだと思っています。そういう意味で、非営利セクターは経営者などのエリート層と労働者の狭間にあるものなのかなとも思っています。より対話を促していったり、一人ひとりの社会的な動きを新しくつくっていくような役割ですよね。

中間団体としてのNPO

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