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経営者だからこそ感じる「労働組合」の重要性 データ重視で失われた「対話」の共同体を求めて

東洋経済オンライン / 2024年3月18日 10時30分

青木:おっしゃる通りで、僕も社会における中間的存在がなくなっているのはすごく感じています。縦割り行政って言われますけど、同じ問題なのにこっちの窓口に行って、それから別の窓口に行かねばならなかったり。窓口が違うだけで、 連携がなかなか取ってもらえなかったりする。

部分部分ではすごく合理的なシステムが組まれているとは思うんですけど、前提が変わったせいで横の連携を求められるとうまく機能しないのは、行政に限らずあらゆる産業、業界にいえることではないでしょうか。そしてその断絶を埋めるのが非営利的存在だということですよね。僕はユキサキチャットとかユースセンターとか、定時制高校もそうですけど、D×Pがやっていることってそれだと思っているんです。

失われた30年は回復する気配もなく、どんどん格差が広がっている。相対的貧困率は若干回復傾向にありますが、依然として存在する社会的な分断を埋めることは不可欠です。NPOはそこを応急処置的にやっているんですけど、予防的にというか、新しい社会をつくっていくような動きも必要だと思っています。

今井:確かにNPOの役割はその意味で重要だと思っています。あと、この格差や分断を埋めていく、橋をかけていくことは民主主義を育てることなのかなと思っています。その動きの一助になるのは非営利組織、NPOの役割だと思っています。D×Pは寄付やボランティアなど市民的な動きを一緒につくっていると思っているので、そこがNPOの面白さでもあります。ある意味で思想が違う人たちも、「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会を目指す」というD×Pのビジョンのもとに集まってくれる。一緒につくるということは、このアクション自体が公共的だとも言えるんですよね。公共は自分たちがつくる、という意味でもあると思います。

青木:本書の言葉で言うと、「民主的多元主義」というものですよね。いくつものレイヤーを重ねることによって中間的なものができてくる。非営利セクターは株式会社とか行政ができないことをやるわけですけど、株式会社とか行政と連携しないというわけでは決してない。だから株式会社のレイヤーと行政のレイヤーといったように異次元を行ったり来たりする存在である必要があるのだと思います。「他の異なるレイヤーにいる人たちが集えるレイヤー」なのかもしれないですけど、そういう言葉がないような気もしています。そういう多層的な状態を民主的多元主義と言っているのだと思います。

非営利セクターとしての労働組合

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