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「働かない若者」は本当に日本だけの現象なのか? 日本とアメリカにおける「静かな退職」の比較

東洋経済オンライン / 2024年3月21日 13時0分

「(意識の高い人が多そうな)アメリカ社会においても、そう感じる人は増えているのか……」というのが、多くの読者の率直な感想かもしれない。特に2022年は、日本経済の低迷ぶりが、「安い日本」、「買われる日本」を示すデータとともに一気に浸透した年だったので、余計そう感じる人も多いだろう。アメリカとの経済力の格差を、極めて身近な「所得」、「給与」という尺度で、まざまざと見せつけられたばかりだ。

それでは、実際にどのくらいアメリカの中でQuiet Quitterが増えているのか。残念ながら直接的なデータは存在しないものの、関連するデータとして頻繁に活用されるのが、アメリカの著名な調査会社ギャラップが公開しているデータだ。実際に同社を有名にした調査票の1つに、「Q12」(キュー・トゥエルブ)がある。

この調査では、広く労働市場からランダムに回答者を抽出し、12個(と、言っているが実際はQ00を含む13個)の質問をするものだ。項目は、仕事に対する満足度、生産性、ウェルビーイングなど多岐にわたる。これらの結果を総合することで、従業員のエンゲージメントを算出している。

エンゲージメントとは、簡単に言うと、労働者の組織に対する愛着心や熱意を表したもので、エンゲージメントが高い従業員ほど、労働生産性やウェルビーイングが高く、離職率が低くなるとされる。

ここでは、その結果を活用し、2023年8月にアップデートされたデータを引用しよう。データは、「Engaged」、「Not engaged」、「Actively disengaged」で100%となるよう構成されており、上記の図表には、このうち「Engaged」と「Actively disengaged」を掲載した。

これを見る限り、「Engaged」、つまり仕事に対し熱意をもって取り組もうとする人の割合は、減っているどころか、緩やかに増加傾向にある(ちなみに近年の日本の「Engaged」は5%台で推移しており、びっくりするほど低い)。

この点だけ見れば、Quiet Quitting現象の兆候は認められない。個人的にこのデータで着目したいのは「Engaged」と「Actively disengaged」のギャップだ。アメリカ社会では、ある方向への勢いが増してくると、それに対するアンチテーゼとも思える意見が強くなることがしばしば見られる。

Quiet Quittingについても、そのような解釈が可能だ。事実、先に上げた主要ジャーナルには、Quiet Quitterに対する批判的な意見が多数登場する。

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