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「働かない若者」は本当に日本だけの現象なのか? 日本とアメリカにおける「静かな退職」の比較

東洋経済オンライン / 2024年3月21日 13時0分

「努力は若者の権利であり社会に対する義務でもある」、「がんばらない姿勢は現実逃避に過ぎず、仕事の不満や燃え尽きに対する万能薬ではない」、「ただ単に怠惰を正当化し助長するのみ」、「本当に休息を必要とする人もQuiet Quitterと思われてしまう」、といった具合だ。

そして、読者の皆さんも記憶に新しい、ツイッター社(現X社)を買収したイーロン・マスクが従業員に送ったとされる次の文も、Quiet Quitterへのアンチテーゼと言えるだろう。

「Goingforward,tobuildabreakthroughTwitter2.0andsucceedinanincreasingly competitive world, we will need to be extremely hardcore.」


(ますます激化する競争の中で成功するためには、極めてハードコアであることが必要だ)

この先、この対立した構図がどのように進むのかを予想するのは難しいが、しばらくは共存していくだろう。

すでに「静かな退職者」だらけの日本

ここまで、アメリカを中心としたQuiet Quitting VS.ハッスル文化の構造を見てきた。ここからは、これを長い前置きにして、日本社会と対比してみよう。

このQuiet Quittingという思想、日本人である我々は、わざわざ面白がって学ぶ必要などないかもしれない。すでに一定の読者の皆さんはお感じのことだろう。何のことはない、Quiet Quittingこそ日本文化になりつつある。

「いい子症候群の若者たち」の実像と、アメリカ発のQuiet Quittingという概念は、大部分において重なるところがある。特に整合性が高いのが「自らはアクションを起こさず、指示待ちに徹する」という姿勢だ。

さすが課題先進国ニッポンだ。アメリカで最近話題になった現象を、何年も前から先取りしている。

ちなみに、海外の研究仲間に、日本人の「指示待ち気質」を説明することは至難の業だ。むろん僕の拙い英語力のせいもあるわけだが、たっぷり考える時間があったとしても、やはり難しい。

「Waiting for instruction from their supervisors」

「Preferring being controlled on their jobs」

というと、いったんはわかってくれることが多い。ただし、(少なくとも僕と交流のあるアメリカ在住の研究者たちは)それを主に低賃金労働者や高齢者のことだと思うようだ。

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