「働かない若者」は本当に日本だけの現象なのか? 日本とアメリカにおける「静かな退職」の比較
東洋経済オンライン / 2024年3月21日 13時0分
だから、「いやいや、大卒の若者のことですよ」と、改めて説明するわけだが、ますます「Why?」「I don’t get it !」の集中放火にあい、撃沈することに……。
なので、ここはせめて日本人の皆さんと共有・共感・共鳴させていただこう。日本における「静かな退職」現象は、新しくもなんともない、「今そこにある危機」という状態だ。
日本では本当に辞めてしまう
ただし、アメリカと日本のQuiet Quitterが大きく異なる点が2つある。1つ目は「Actively disengaged」というところ。「積極的にハッスルしないことを主張する」なんて、いかにもアメリカ人らしい印象だが、日本の若者はむしろ逆だ。一定の意欲を見せつつ、与えられた仕事をそつなくこなし、それ以上の目立つ行動はしない、というのがいい子症候群であり、だからこそ先輩世代を困惑させる。
事実、「Q12」の国際比較を見ても、「Actively disengaged」の割合に大きな日米差はなく、むしろ日本が際立っているのは「Engaged」の低さと「Not engaged」の高さだ。
2つ目は日本の場合、本当に若者が辞めてしまうことだ。アメリカにおけるハッスル文化からの逃避は、別に退職まではしない。にもかかわらず、日本の若者は会社そのものに見切りをつけてしまうなんて、アメリカ人もびっくりの大胆行動だ。
日本社会はアメリカのそれのように人の流動性は高くない。それは、いわゆるジョブ型雇用ではなく、メンバーシップ型雇用が理由だが、そのメンバーシップ型の雇用環境の中で(特に若手の)退職者を出すことは、組織にとって大きな痛手となる。つまり若手の退職は、日本社会において、より大きなインパクトをもたらす。
「働かないおじさん」が、若手に与える影響
もう少し、日米の若者の労働文化の違いを見ていこう。クアルトリクス合同会社は、興味深い調査レポート「2023年従業員エクスペリエンストレンド」を公表している。この調査は、世界27の国と地域を対象にしたグローバルレポートと、日本独自に追加調査を実施した日本レポートがある。日本レポートでは、正社員として雇用されている18歳以上の就業者4157人が回答している。
この調査では、Quiet Quitterを定量的にあぶり出すべく、「自発的貢献意欲」の度合いが高・中・低のうち「低」に該当し、かつ「継続勤務意向」の度合いが高・中・低のうち「高」に該当する人を「静かな退職状態にある人」と分類している。
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