WR-Vの価格をライバルに合わせたホンダの苦境 高価格化したヴェゼルの穴を埋めるも課題あり
東洋経済オンライン / 2024年3月24日 12時30分
また、「フィット」からヴェゼルへのアップサイジングや、子育てを終えて「フリード」や「ステップワゴン」から乗り換えるときも、e:HEVでは割高感が生じる。
販売計画に達しないヴェゼルの販売台数
この影響で本来、現行ヴェゼルのターゲットであった先代ヴェゼルやフィットのユーザーが、トヨタ「ヤリスクロス」「ライズ」など、安価なガソリン車を用意するライバル車を購入するようになった。
そのために、現行ヴェゼルの売れ行きは伸び悩む。先代ヴェゼルは2013年に発売され、約6年を経過した2019年でも5万5886台を登録したが、現行型は2021年に登場しながら2022年は5万736台、2023年も5万9187台に留まった。
コロナ禍の影響で納車遅延が著しい車種であったが、それを差し引いても、発売直後の新型車としては元気がない。
2021年に現行ヴェゼルが発売されたとき、メーカーが発表した販売計画台数は月間5000台だった。1年間にすると6万台だから、現行ヴェゼルは発売直後から達していない。
「販売計画台数」とは、発売から終売までの平均台数だ。モデル末期に売れ行きを下げることを考えると、発売直後は販売計画台数を大きく超えねばならず、現行ヴェゼルは明らかに達成できないことになってしまう。そこで、WR-Vを投入することになったわけだ。
ボディサイズは、前述のように現行ヴェゼルと同程度だが、エンジンは1.5リッターガソリンエンジン搭載車のみでe:HEVの設定はなく、駆動方式も2WDだけだ。
インド工場で生産する輸入車でもあるから、受発注の効率を考えてグレードは3種類に抑えられ、生産ラインで装着するメーカーオプションも用意されない。外装色も5色に絞った。
WR-Vのグレードは、ベーシックなX(209万8800円)、中級のZ(234万9600円)、上級のZ+(248万9300円)の3タイプ。価格は、先に挙げた先代ヴェゼルのガソリン車G(211万3426円~252万833円)に近い。
さらにヤリスクロスのガソリンG・2WD(215万円)、Z・2WD(243万5000円)、Zアドベンチャー・2WD(255万1000円)にも近い設定になる。
WR-Vは、先代ヴェゼルのガソリン車の後継という位置づけで、ホンダ車ユーザーがヤリスクロスなどに乗り換えるのを防ぐ役割も担っていることが、価格からもよくわかる。
位置づけはガソリン・ヴェゼルの後継だが…
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