1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

批判も多い「LUUP」1日乗り倒して見えた長所短所 渋谷周辺の100ポート全部回ってみた【後編】

東洋経済オンライン / 2024年3月24日 12時5分

そのような、「LUUP目線の都市感」が生まれるかもしれないのである。LUUPによる都市感の変化は、今後も注視して考える必要があるだろう。

②新しい都市コミュニケーションの萌芽

前編で、LUUPのポートが極小であるために、利用者同士でコミュニケーションが誕生することを指摘した。

それに関連して、この間、同じくLUUPを使用しているOさんに聞いたのだが、この人は、LUUPを使用するとき、そのポートが居酒屋の軒先にあったために、その居酒屋の店主の人と会話をしたそうである。

LUUPを介したコミュニケーションが誕生するのかもしれない。

③地方での展開可能性

私は、現在、香川県の丸亀と、東京の二拠点生活をしているのだが、LUUPのようなものが、香川にもできると便利だよな、と思った。

地方の郊外の場合、自宅からもっとも近いスーパーが2km先だったりして、車だとすぐなのだが、そのためだけに車を出すのもな……という場面もある。

また、高齢者の場合、免許を返納している場合もあり、そのときは自転車かコミュニティバスを使ってしかスーパーに行くことができない。高齢者の場合、自転車は体力的に厳しい場合もあるし、コミュニティバスは1時間に数本しか来ないため、こうしたLUUPのような乗り物が地方にあれば、非常に良いと思う。

実際、LUUPは高齢者でも乗ることができる電動モビリティの開発も視野に入れているらしい。

今でこそ、LUUPは、一部の都市住民のための移動手段のようになっているが、それが本当の意味で活躍するのは、むしろ地方に進出したときなのかもしれない。

LUUPの理念は「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」ことだという。「ポート」=港、という命名からもわかる通り、LUUPが置いてある場所は一種の「駅」であり、これまでの既存の駅間移動を超える交通のあり方をLUUPに託しているのだ。それが地方にまで広がったときにどうなるか、注目しておくべきだろう。

LUUPを全肯定も全否定もせずに注視していこう

というわけで、LUUPのポートを100カ所巡りながら、その特徴や可能性について考えてきた。

LUUP関連の話題をするとどうしても「LUUP便利だよね!最高!ベンチャースピリットも大好き!」という全肯定派と、「LUUPなんて乗り物危なくてけしからん!即刻撤廃すべき!海外でもやらなくなっている!」という全否定派の意見ばかりが大きく取り上げられがちだと思う(そして、現在は、後者の「全否定派」の意見が強い)。

ネットメディアの見出しを見ても、とりあえずLUUPの危険性をあおる……というものが多い(そして、たぶん、そういう記事は読まれる)。

ただ、個人的にこういう状況は嫌だなあ、と思っていて、実際都心部の若者は、かなり便利な乗り物としてLUUPを普段使いしている人が増えてきている現状があるし、一方で、そうした利用の中でマナー違反があったり、危険な使い方をしている人もいる。

当然のことだが、何事にもメリット・デメリット両方あるわけだ。だからこそ、肯定/否定ではなくて、あくまでも「LUUPがどんな状況を起こしているのか。LUUPによってどのように社会は変わっているのか」ということを冷静に分析する必要があるのではないか。

谷頭 和希:チェーンストア研究家・ライター

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください