「医学部を目指した20年」夢を諦めた彼女の行く末 医師になりたかった理由、新たな道を選んだ訳
東洋経済オンライン / 2024年3月24日 7時0分
現在、浪人という選択を取る人が20年前の半分になっている。「浪人してでもこういう大学に行きたい!」という人が激減している中で、浪人はどう人を変えるのか。また、浪人したことで何が起きるのか。 自身も9年間にわたる浪人生活を経て早稲田大学の合格を勝ち取った濱井正吾氏が、さまざまな浪人経験者にインタビューをし、その道を選んでよかったことや頑張ることができた理由などを追求していきます。
今回は医学部医学科を目指して受験し続けるも、不合格に終わり、7浪で奈良女子大学に進学。諦めきれずに受験を続けたものの、医学部医学科への合格はかなわず、私立の歯学部に進学。2024年の2月に中途退学して、新たな道を歩み始めているtotoronさん(仮名)に話を伺いました。
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20回の挑戦を終えて、夢を断念
夢を諦めるというものは、つらいものです。
今回お話を聞いたtotoronさん(仮名)は、医師を目指して7浪したものの、不合格に終わり、奈良女子大学に進学。在学中や卒業した後も、センター試験と共通テストを受け続けますが、20回目の挑戦を終えて、ついに断念します。20年追いかけた夢を断念する無念さは、筆舌に尽くしがたいものがあると思います。
それでも、彼女はいま、前向きに自分の人生と向き合おうとしていました。彼女は言います。「夢を目指して頑張れたことが、自分の人生にとってよかった」と。
人生の半分以上をかけて目指した医者の道を断念した彼女が、「未練はない」と語る理由とは。長きにわたる彼女の浪人生活に迫っていきます。
totoronさんは、大阪府大阪市西淀川区に生まれました。新聞販売所に勤務する父親は中卒、母親は夜間高校中退で、家系に大卒者はいませんでした。幼少期は大人しく、成績も普通だったそうです。
「通っていた公立小学校は1学年が90人ほどで、成績は真ん中でした。そのまま地元の中学に進学し、中学でも1学年百数十人の中で、真ん中よりやや上の程度の成績でした」
将来の夢は特になかったというtotoronさんでしたが、小学校のときにそろばん塾(学習塾を兼ねる)に通っていたことが、現在にも生きているそうです。
「私が通っていた塾は、夕方はそろばん塾で、夜には学習塾に姿を変える場所でした。そろばん塾も、学習塾も、同じ先生が指導してくださり、勉強をサボると手が飛んでくるようなきびしい環境でした。ただ、そこで頑張ることができた結果、第1学区の東豊中高校(現:千里青雲高等学校)に無事進学できました」
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