株価、金、ビットコインが驚くほど高騰する事情 世界の金融資産が史上最高値の更新を続けるなぜ
東洋経済オンライン / 2024年3月25日 7時50分
価格が高騰している資産には、この他にも不動産市場や絵画などの美術品、貴金属品などがあるのだが、流動性といった点でも株式市場や金そして暗号資産に莫大な資金が集まっているという現実があるようだ。問題はその理由だが、これまで指摘してきたように、これらの金融商品にはいくつかの共通項がある。
まずは、最も大きな要因は2020年から始まった世界的なパンデミックによるものだ。世界中の中央銀行が大量の資金を市場に流出し、「過剰流動性」を引き出した。例えば、アメリカのマネーサプライ(M2)を見ると、2020年には15兆ドル程度だったのが、一気に22兆ドルを超える数字にまで急増している。しかもその水準は現在も横ばいのままだ。
日本政府も同様に、コロナ禍によって落ち込んだ景気を支えるために、一気に財政出動を加速させた。いわゆる「コロナ予算」と呼ばれるものだが、2020年度だけで77兆円にも達している。東日本大震災の復興予算が10年間の総額で32兆円であることを考えると、その規模の大きさが分かる。
日本のコロナ禍時代のマネタリーベース(M3)をみると、それまで前年同月差が40兆円程度だったのが、パンデミックが始まった2020年4月以降急激に上昇し、同110兆円程度も増額されている。やはり過剰流動性を引き起こして、様々なバブルを引き起こしていると言っていいだろう。
株式や金、ビットコインが選ばれる
ここで問題になるのが、政府によって供給されたマネー=通貨には制限がないということだ。アメリカのように議会によって厳しく制限されている国もあるが、基本的には制限がない。政府の一存で無制限に発行できるマネーが法定通貨と言っていい。
むろん、日本でも現実的には無制限に発行できるわけではなく、債券市場で国債を購入してくれる投資家がいなければ発行できない仕組みだが、日本では中央銀行が買い取りをする形で無制限に発行できる状態になっている。
とりわけ、アベノミクスが始まったこの10年は、一部の保守保守系議員などが中心になって「国債は無制限に発行できる」といった主張が叫ばれつづけた。その結果、日本銀行は発行されている国債の半分以上を保有している状態だ。
最近始まった新NISAでも、無制限に発行され続けている円ではなく、外貨に投資しようと考えている投資家が圧倒的多数と言われる。株式や金、ビットコインといった「限りある資産」にマネーが逃げようとしていると考えられる。
今後は「インフレ」との長い戦いになる?
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