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「客の声、反映しても売れない」悩む人に欠けた視点 購買意欲を喚起するための「インサイト」の重要性

東洋経済オンライン / 2024年3月26日 16時0分

消費者の声を鵜呑みにして失敗することもあります(写真:yamahide/PIXTA)

市場が飽和し、モノが売れない時代に消費者の心をつかむためにはどうすればいいのか。「消費者のインサイトを刺激する商品開発や販売促進を行うことで、購買意欲を喚起できる」と語るのが、東大在学中にペンション経営を始め、現在はホテルの開発・運営や企業のブランディング・マーケティング支援などを手がける龍崎翔子氏です。では「インサイト」とは何か。その中身について、龍崎氏が解説します。

※本稿は龍崎氏の新著『クリエイティブジャンプ 世界を3ミリ面白くする仕事術』から一部抜粋・再構成したものです。

魅力的な商品を生み出す「インサイト」

どうすれば「思わず〇〇してしまう」ような魅力的な商品を生み出すことができるのでしょうか?

そのために必要なキーワードは、「インサイト(insight)」です。マーケティング用語として聞いたことのある方もいるかもしれませんが、実はインサイトの定義はまだ定まりきっておらず、十分に要点が理解されていない例も見られます。

私の考えでは、インサイトとは、消費者の行動原理やその背景にある意識構造を見抜いたことによって得られる、「人々の無意識下にある、消費行動を刺激するスイッチ」のことです。消費者のインサイトを刺激する商品開発や販売促進を行うことで、購買意欲を喚起することができます。

そのためには、「この人はこういうインサイトを持っているのではないか?」という仮説を持って世の中を眺めることが大切になってきます。

人の意識はよく氷山に例えられます。自分自身で認識している(=海面から見える)顕在意識はほんのごく一部だけで、その他の大部分はほとんど自分自身でも何が起きているかよく説明できない(=海中に潜んでいる)潜在意識によって構成されているといわれています。

特に、情報量の多い現代社会においては、人々の行動原理は多様化・複雑化しており、自身の行動の背景や動機を整理して分かりやすく説明することはほとんど不可能に近い状況です。

無自覚の願望が、人を消費行動に駆り立てる

例えば何か買い物をするときに、「なぜそれを選んだのか」を毎回論理的に説明できるでしょうか? おそらく、「なんとなく」選んでいることが多いのではないかと思います。

あるいは、とある旅館に宿泊した大学生に「なんでこの宿を予約したの?」と尋ねても「価格が手頃で、客室が綺麗で、食事が美味しそうだったから」といった凡庸な答えが返ってくるだけでしょう。往々にして人は、自分がどのような潜在意識に突き動かされて行動しているかを正確に認識できていないのです。

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