列車で巡れる「おんせん県」大分ご当地鉄道事情 別府・由布院抱える沿線は観光列車のメッカ
東洋経済オンライン / 2024年3月27日 6時30分
1つは、久大本線だ。久大本線も、福岡県と大分県を連絡する役割を果たしている。
久留米―大分間を結ぶ久大本線の沿線には日田や豊後森の機関車庫がいまも残る玖珠などの町がある。そしてなにより由布院温泉だ。博多―由布院・別府間を走る特急「ゆふいんの森」は、国鉄からJR九州に移ってまもない1989年にデビューした観光列車のパイオニアである。
ディーゼル特急という事情もあって、博多―由布院間はざっと2時間20分。博多―大分間は3時間で電車特急「ソニック」よりも1時間余計にかかる計算だ。なのに、これがまたデビューから30年以上たってもなかなかの人気ぶり。由布院温泉の圧倒的な存在感と、気軽に乗れる観光列車という位置づけが、息の長い人気につながっているのだろうか。
なお、2024年4月からはここにもう1つ。「かんぱち・いちろく」という観光列車が加わるという。「ななつ星 in 九州」や「或る列車」も乗り入れる久大本線は、もはや観光列車のメッカになっている。由布院や別府、つまりは温泉の力、あなどるべからず、である。
由布院を抱える久大本線に対して、県南部の山間部、竹田や豊後大野などを通っているのが豊肥本線である。
こちらは路線名の通り、熊本と大分を結ぶのがその役割。ハイライトは阿蘇の外輪山を巡る区間だが、全線で約150kmのうちおおよそ半分は大分県内を走っている。
久大本線の「ゆふいんの森」と同じように、こちらにも観光列車が走っている。その名も「あそぼーい!」。ルーツは1988年に登場した「あそBOY」にあり、九州新幹線全線開業にあわせて2011年に再デビューした。
当初の運行区間は熊本県内だけだったが、熊本地震によって豊肥本線の一部が運休中に大分県に乗り入れ、全線復旧後のいまも大分・別府駅まで走っている。
このほか、かつては肥薩線にも乗り入れていた「九州横断特急」も熊本―大分・別府間で走る。熊本と大分は、文字通り九州を横断して3時間ちょっとだ。
大分の“鉄道”は3路線
と、ここまで見てきた日豊本線・久大本線・豊肥本線の3路線。これが、大分県の鉄道のすべてだ。2023年夏までは(長期運休中ではあったが)日田彦山線というローカル線が日田駅付近でほんの少しだけ大分県内に乗り入れていた。けれど、これも2023年夏にBRTに転換されてしまい、純粋な意味での鉄道としては3路線だけだ。
別府ではロープウェーとケーブルカーが営業しているが、純粋な鉄道かといわれるとちょっと違う。鉄道が3路線以下の都道府県は、大分県を除くと実はモノレール一本やりの沖縄県だけだ。
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