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希代の起業家を成功に導いた、正しい「失敗」の仕方 2つのユニコーンを生み出したユリ・レヴィーンに学ぶ

東洋経済オンライン / 2024年3月29日 10時0分

計算式はとてもシンプルだ。失敗への恐怖と変化にともなうコストを足したものより情熱が大きければ、人は起業家への道を選ぶ。

私が育った家では、父にアイデアの話をすると、それがどんなに途方もないアイデアだったとしても、「試しにやってみようか?」と言われた。うまくいかなくても、白黒つけることはなく、ただ「何を学んだ?」と聞かれる。

そうした環境で育ったことで、失敗への恐怖は薄らいだが、それだけではなかった。

それにより自信が高まり、自分を信頼する力がついた。

これを実践するにあたり、忘れてはいけないこと。それは、決して白黒つけないことだ。

もちろん、それだけが起業家を作るわけではない。必要なものはほかにもある──好奇心、知性、何事も当たり前と考えない態度、そしておそらく問題児であることだ(私は高校時代、教師に嫌われていた。授業から追い出された回数は、サボった回数に次いで多かった)。

繰り返す。失敗を恐れることは、すでに失敗なのだ。その旅はそれ以上続かないからだ。スタートアップの起業でも、それ以外のことでも、同じことが言える。

起業を促すには社会的な取り組みが必要

私は起業家向けにさまざまな講演会やイベントで話をする。ラテンアメリカでは3〜4回、こうたずねられた。

「どうしたらスタートアップ国家イスラエルのように、人口あたりのスタートアップの数を増やせますか?」

「何をすべきか」は比較的簡単だが、まず理解すべきなのは、10〜20年はかかることと、行動や決断に忍耐を要することだ。結局は、失敗への恐怖を和らげる文化的な変化を体系的に見直すことになる。

そのためには、起業家を後押しする公共的、規制的、社会的な取り組みが必要となる。

例えば、次のような取り組みが行なわれるべきである。

●起業家が必要とする規制作りを行なう。アメリカの投資家がテルアビブのスタートアップに投資しても、投資家にはイスラエルで税金がかからない。だが、ブラジルのスタートアップに投資すると、ブラジルでは税金を払う必要がある。さらにひどいことに、失敗すると投資家が責任を負わされる恐れもある。

●メディアは起業家精神を称えるべきである。起業家は世界を変えようとする真の英雄であることを伝えなければならない。誰が成功したかではなく、誰が挑戦したかを伝えるべきだ。

●起業家を導くメンターシッププログラムを導入する。

●起業家を支援する国家・政府系・公共ファンドを作り、例えば、新たなスタートアップへの1対1のドルでの投資リスクを分担するため、スタートアップが資金調達できたら、政府がマッチングファンド(民間VCが投資した残りの資金を政府が提供する)を提供し、結果として投資家により有利なエコシステムを作る。

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