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ポール与那嶺氏語る「日本企業が世界で戦う鍵」 ポール与那嶺さんにインタビュー(後編)

東洋経済オンライン / 2024年3月29日 11時0分

―――守ることと攻めること、両方大事だということですね。

私も若い時期には能力のある投資家や企業に対してこういうコメントは言いづらかったのですが、これまで経験を積んできたので、思うところがあります。経営とはいえ、やはり人間として暮らしていかなくてはいけない。日々の生活を荒らすような結果になってもらいたくないですよね。

だから(投資と経営の)バランスは大事だと思います。日本ではまだ、「グローバル化」ということに対してアレルギーのある人も少なくないと感じます。

しかし、インターネットもグローバルですし、海外からの旅行者も多いので、すでにどう見てもグローバルなんです。そこを踏まえて動かないというのは間違った選択だと思います。走りながら工夫して、間違っていれば方向転換すればいい。

必要なことの1つは、特に欧米からの投資がものすごく入りますから、外国人と同等にビジネスができるような根性を持ったビジネスパーソンが絶対必要になってくると思います。

―――まさに、経営において多くの企業が直面しているのが人材不足です。伝統的な長期雇用と成果主義のバランスが崩れ、人材を育てられなくなっています。マネジメントできる経営者の不足という課題もありそうですが、どうでしょうか。

経営者の不足ももちろんありますが、取締役会ですよね。抜本的に組織の報酬制度の見直しが必要です。

アメリカやヨーロッパに子会社を持っている日本の企業のほとんどが、子会社の社長の報酬のほうが、本社の報酬を上回る水準になっています。野球で言えば外人選手のほうが結構報酬が高いですが、似たような発想です。

世代交代やいい人材を育てていくためにも、報酬を上げていくことは意味のあることです。それがなければ、結果的にいい人材を採用できず、いい人材を残せない、育たない状況が生まれている。トップの水準が上がらないと下も上がらない。

日本のワーカーは世界一ですよ。教育も整っている。将来的には外国人を採用していかなければならないですから、優秀な人材を得るためにも、日本国内の報酬制度の見直しは絶対に必要になってきますよね。この点もグローバルになっていく視点で見直しが必要だと思います。

複雑な日系コミュニティー

―――ビジネスの連携においてはやはり「人」が重要ですが、アメリカ本土やハワイの日系人社会も世代交代が進み、若い人たちの意識の変化も感じるのではないでしょうか。

日系コミュニティーも複雑で、世代によって違いがあります。私の祖父も含め、かつていい生活を夢見て移民として渡ってきた人たちは、まさか戦争になるとは誰も思っていなかったわけです。戦中も戦後も、白人社会の中で日系人が生活していくのはかなり大変なことでした。

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