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愛知県民すら知らない「豊橋うなぎ」のこだわり 県収穫量8割以上占める「一色産うなぎ」との差

東洋経済オンライン / 2024年3月31日 13時0分

「夏目商店」のECサイトで販売されているうなぎの長焼き(1尾5038円〜)。1尾で約2人前の特々大サイズだ(筆者撮影)

愛知県は全国屈指のうなぎの生産地であることをご存じだろうか。日本養鰻漁業協同組合連合会によると、2022年における全国の養殖うなぎの収穫量は1万9155トン。愛知県は約2割強を占める4205トンで全国2位。つまり、日本国内に流通しているうなぎの5尾に1尾は愛知県産ということになる。

【写真】20歳で社長に就任し、会社の立て直しに奔走した夏目義秀さん

愛知県内でうなぎといえば、西尾市一色町の「一色産うなぎ」だろう。何しろ、県収穫量の8割以上を占めているのだ。

100年以上の歴史がある豊橋の養鰻

先日、仕事で愛知県豊橋市を訪れたとき、うなぎ屋の店先に「豊橋うなぎ」と書かれたのぼりを見た。たしかに豊橋市にはうなぎ屋が多く、それは「浜名湖うなぎ」が有名な静岡県浜松市に近いからだと思っていた。

「豊橋のうなぎ養殖は、1896年に神野新田からはじまったといわれています。県内産の約1割を豊橋うなぎが占めています」と、話すのは豊橋市内でうなぎの養殖から卸業、加工、販売のすべてを手がける「夏目商店」の社長、夏目義秀さんだ。

豊橋養鰻漁業協同組合が設立されたのは1950年。不漁やオイルショックなど幾多の困難を乗り越えてきた。生産量こそ一色産うなぎには追いつかないものの、養鰻業者たちは品質に絶対の自信を持っており、もっと多くの人々にPRしていきたいと地域ブランド(地域団体商標)をめざして手続きを進めていた。そして、2012年に「豊橋うなぎ」として特許庁に商標登録された。

地域団体商標とは、地域産業の競争力と強化、地域経済の活性化を目的に特許庁が2006年に開始した制度で、うなぎに関する登録は全国でも愛知県の「一色産うなぎ」と「豊橋うなぎ」、静岡県の「浜名湖うなぎ」の3件のみ。

しかし、愛知県民からすれば「一色産うなぎ」と「豊橋うなぎ」の違いが今ひとつよくわからない。すると、夏目さんは「ちょうど今日、池上げをやっていますから一緒に行きましょう」と、本社から車で7、8分の場所にある養鰻池へ案内してくれた。

養鰻池では7人がかりで池全体に張った網を四方から手繰り寄せて、うなぎをかごの中に入れていた。網に引っかかったうなぎは傷めないように細心の注意を払いながら丁寧に扱っている姿が印象的だった。

こだわっているのは飼育に適した水づくり

池上げしたうなぎは、本社へ運ばれて立場(たてば)と呼ばれる施設で1〜2日、餌を与えずかごの上から水を流し続ける泥抜きを行う。泥を吐かせることで臭みが少なくなるだけではなく、身が締まって余分な脂も落ちるため、より一層美味しいうなぎになるという。

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