「水素の町」を構想する福島・浪江町の理想と現実 震災復興の住民は割高コストを受け入れるのか
東洋経済オンライン / 2024年4月4日 8時0分
ただ、水素に限らず、クリーンエネルギーの事業化の段階では、確実な需要があるのか、あるいは供給体制の構築が先なのかで、堂々巡りの議論に陥りがちだ。
住友商事の市川氏は、「はじめから大規模に導入しようとすると、場所やコストの問題でハードルが高くなる。まずは小規模な地産地消のエネルギーからはじめて、住民の需要を喚起する。社会受容性のハードルを下げることで、一定の需要が期待できるようになる」と言う。
政府の水素基本戦略では、「水素・アンモニア政策、そして政策に基づく企業への支援等に対する国民理解を得ていくためには、国民、自治体への丁寧な情報提供や、継続的な対話の積み重ねが重要である」と記されている。
水素社会を本当に実現させるためには、産業界の需要拡大の努力はもちろん、割高なコストを受容できる最終消費者の意識醸成も不可欠だ。浪江町の取り組みは、日本に水素社会が定着するかどうかの大きな試金石になる。
森 創一郎:東洋経済 記者
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