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アリババ、物流子会社「菜鳥」の上場申請取り下げ ECのシェア低下に焦り、物流との融合を強化へ

東洋経済オンライン / 2024年4月8日 18時0分

菜鳥の上場計画は、アリババのEC事業のシェア低下と中国株式市場の低迷に翻弄された(写真は菜鳥のウェブサイトより)

中国のEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)は3月26日、物流子会社の「菜鳥(ツァイニャオ)」が香港証券取引所に提出していた新規株式公開(IPO)の申請を取り下げたと発表した。

【写真】アリババの創業メンバーの1人で会長を務める蔡崇信氏(同社ウェブサイトより)

「菜鳥の上場中止は、2つの重要な要素に基づいて決めた。第1に(グループとしての)経営戦略上の観点から。第2に、上場申請から半年が経過し、目論見書を更新して手続きを継続すべきかどうか(市場環境に鑑みて)判断しなければならないタイミングだったからだ」

アリババの董事会主席(会長に相当)を務める蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏は、26日夜にオンラインで開いた説明会でそう述べた。

同社が菜鳥をスピンオフし、香港証券取引所に上場させる計画を発表したのは2023年9月26日のことだ。

わずか半年で方針転換

「菜鳥の上場は同社の企業価値をよりよく具現化し、向上させると同時に、親会社のアリババとその株主にも利益をもたらす」。アリババは当時、菜鳥の分離独立の意義をそう強調していた。

この発表と同じ日に、菜鳥は香港証券取引所に申請書を提出。アリババが主要事業の6分割を柱とする大がかりな事業再編を2023年3月に発表して以降、正式な上場手続きに入った最初の子会社となった。

にもかかわらず、なぜわずか半年で方針転換したのか。前述の2つの要素のうち経営戦略上の理由について、蔡氏は次のように説明した。

「グループ経営の観点からは、目下の最優先の課題はEC分野の(競合企業に奪われた)市場シェアを取り戻すことだ。消費者にとってより魅力的なサービスを提供するには、グループ傘下のEC事業と菜鳥の物流オペレーションを緊密に連携させることが重要なカギになる」

ここ数年、アリババのグループ全体での成長が鈍化するなか、菜鳥は相対的に高い成長を維持してきた。

菜鳥の2023年3月期(訳注:アリババ・グループの会計年度は4月から翌年3月まで)の売上高は778億元(約1兆6313億円)と、前年度比16%増加。しかし損益はまだ赤字であり、同期は28億100万元(約587億円)の純損失を計上した。

「最近の(低迷する中国株式市場の)厳しい市場環境を考慮すると、菜鳥がこのタイミングでIPOを実施するのは(企業価値向上という観点で)グループ戦略と一致しない。また、IPOによって具現化される(時価総額などの)数字は、菜鳥の潜在的価値を反映したものになり得ない」(蔡氏)

従業員の持ち株買い取りの思惑

上場申請の取り下げと同時に、アリババは菜鳥の少数株主および従業員の持ち株を買い取る計画も発表した。1株当たり0.62ドル(約94円)で、最大37億5000万ドル(約5678億円)分を買い取るとしている。

この買い取り価格の根拠について、蔡氏は「菜鳥の企業価値を103億ドル(約1兆5595億円)と見積もったことに基づく」と説明した。

今回のアリババの方針転換により、菜鳥の少数株主と従業員はIPOへの期待を挫かれる結果になった。持ち株の買い取り計画は、その埋め合わせでモチベーションを維持する思惑と見られる。

「菜鳥は発足して10年になる。少数株主も従業員も(事業の成長に貢献した見返りとして)持ち株の現金化というインセンティブが必要だ」。ある菜鳥の関係者は、財新記者の取材に対してそう本音を語った。

(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は3月27日

財新 Biz&Tech

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