「団地再生」の成功事例を深掘りして見えたこと 子育て世帯の「入居続々」大阪・茶山台団地
東洋経済オンライン / 2024年4月8日 11時0分
さまざまな団地で近年、「再生」に向けた取り組みが行われ、なかには一定の成果を出している事例がある。その1つが大阪府・泉北ニュータウン内にある「茶山台団地」(大阪府堺市南区)だ。
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約1000戸で構成されるこの団地は以前、入居者の高齢化や減少が進んでいた。しかし今では子育て世代を中心に入居者が増えており、団地再生の成功事例となっている。
そう言える理由は再生に向けた仕掛け、仕組みづくりはもちろん、それ以上に団地運営に関わる「人づくり」、コミュニティー形成に成果をあげていることだ。
団地暮らしはメリットも多い
高度経済成長期に全国各地で開発され、当時は庶民のあこがれの住まいだった「団地」。国土交通省によると約3000カ所あるとされるが、今や住民の高齢化や入居者減少による過疎化といった問題を抱えているものも多い。
このように書くとなんだか寂しげになってしまうが、実は団地の住環境は決して捨てたものではない。
というのも、保育施設や学校などが近くにあるなど、生活基盤がすでに整っているものがほとんどだからだ。郊外なら大きな公園が併設された団地も多く、子育て世帯にとっては大変よい住環境が整っている。
もちろん、建物や設備の老朽化や共同住宅ならではの騒音問題、階段の上り下りが大変といった問題もある。
郊外の「ニュータウン」にある団地は丘陵地帯にあることが多く、移動は坂が多くて大変だ。 通勤通学に時間がかかる立地なら、なおさら不便さを感じるかもしれない。
ただ、そうしたことを厭(いと)わない人や家族なら、住まいの選択としては「あり」ではないか。
収入によるが、一般的な賃貸住宅より手頃な家賃で生活できるし、各自治体の住宅公社などでは、子育て世帯を対象とした家賃優遇制度を設けているケースもあるなど、この物価高の時代に住居費を抑えられるのは何よりの魅力だ。
なお、一言で団地といっても共同住宅タイプと戸建てタイプがあり、さらに各都道府県の自治体や住宅供給公社、民間が供給したものなどがあり、管理運営のあり方や課題などはさまざまだ。団地における問題はそれぞれで異なることをあらかじめご承知おきいただきたい。
入居率が93%にまで回復
大阪府の泉北ニュータウン内にある「茶山台団地」(堺市南区)は2017年度に入居率が83%にまで低下していた。この数字だけを見るとおおごとには感じられないかもしれないが、当時は入居者の半数以上が65歳以上で、近隣のスーパーが撤退するなどといった事態が起こっていた。
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