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2060年の財政を「持続可能」にする増税以外のカギ 内閣府の長期試算が示す条件付きの未来予想図

東洋経済オンライン / 2024年4月8日 8時0分

これを踏まえて、公債等残高対GDP比はどうなるかをみると、2040年代以降ほぼゼロ成長である現状投影シナリオでは、医療・介護費の対GDP比が前述のように上昇することもあって、基礎的財政収支対GDP比が年を追うごとに悪化して赤字幅が拡大するため、公債等残高対GDP比は上昇が止まらず300%近くに達するという。

実質成長率が2030年代以降、1.1~1.3%で推移する長期安定シナリオでは、公債等残高対GDP比は2040年代までは低下するが、その後反転して上昇するという。これは、医療・介護費が、現状投影シナリオよりも緩やかとはいえ、2040年代以降も増加し続けて、基礎的財政収支が悪化してしまうからである。

ただ、前述のように、改革に取り組んで医療・介護費の増加を吸収することができれば、2040年代以降も公債等残高対GDP比は低下し続け、日本の財政は持続可能となることが示された。

未来予想図を実現するためにやるべきこと

今般の内閣府の長期試算は、論理的な可能性を突き詰めて、今後の日本の経済・財政・社会保障の姿を示す意味で意義深い。とはいえ、何の追加的な努力なしに実現するほど楽観できるものとはいえない。

実質成長率を2060年まで(平均的に)1%超で維持し続けられる産業構造にしてゆかなければならないし、国民負担を増大させないような医療・介護の改革にも手抜かりなく実行しなければならない。基礎的財政収支の黒字を2025年度以降も2060年度まで最低でも35年間悪化させないように維持し続けなければならないことはもちろんである。

そうしなければ、公債等残高対GDP比は低下し続けないのである。

土居 丈朗:慶應義塾大学 経済学部教授

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