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「君たちはどう生きるか」中国で特大ヒットの裏側 日本と宣伝手法一変、「宮崎駿最後の作品」強調

東洋経済オンライン / 2024年4月9日 14時30分

中国で大ヒットを記録している『君たちはどう生きるか』(写真:CFoto/アフロ)

中国で4月3日に上映が始まった宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』の興行収入が5日間で5億元(約100億円)を突破し、日本の9カ月分の興行収入を超えた。

【写真】告別之作(別れの作品)と書かれた『君たちはどう生きるか』の中国版ポスター。

公開後5日間の出足は1年前に中国で公開され大ヒットした『THE FIRST SLAM DUNK(スラムダンク)』を上回る。上映前に情報をほとんど出さなかった日本では内容の難しさから動員が伸び悩んだが、中国では宣伝の手法を一変させ宮崎氏の「最後の作品」「ラストメッセージ」と強調することで、多くの人を映画館に向かわせている。

3連休に合わせて上映開始

『君たちはどう生きるか』は4月4日から始まる清明節(日本のお盆に相当)の3連休に合わせ、3日に公開された。

中国の映画興行データ分析アプリ「灯塔専業版」や「猫眼専業版」によると、同作品の4月4日のチケット販売額は約1億6500万元(約33億円)で、日本アニメ映画の新記録を打ち立てた。

景気低迷でレジャーの「安近短」志向を反映して、今年の清明節期間(4月4~6日)の映画興行収入が過去最高の約8億4100万元(約168億円)を記録する中、作品別トップの『君たちはどう生きるか』の興行収入は約3億9000万元(約78億円)に達し、全体の46.4%を占めた。2位は『ゴジラxコング 新たなる帝国』で約2億3700万元(約47億円)、3位は『カンフー・パンダ4』で約4830万元(約10億円)だった。

中国では2023年4月も『すずめの戸締まり』と『スラムダンク』の日本アニメ映画2作品が大ヒットし、いずれも日本作品の興行収入記録を塗り替えた。

『すずめの戸締まり』『スラムダンク』は日本での勢いが中国でも再現された。興行収入を比較すると、『すずめの戸締まり』は日本が147億9000万円、中国が8億元超(約160億円)。『スラムダンク』は日本が157億円、中国は6億5900万元(約132億円)だった。(過去記事:「スラムダンク」中国人がこんなにも熱狂する背景)

『君たちはどう生きるか』は様相が異なる。日本で2023年7月14日に公開された同作品は、4日間で興行収入が21億4000万円を突破し好調なスタートを切ったものの、興行通信社によると2024年4月7日現在で93億円と100億円に届いていない。

全体から見ればヒットしているし、「第96回アカデミー賞」の長編アニメーション映画部門賞を受賞した2024年3月中旬には再び話題となったが、「宮崎駿監督10年ぶりの新作」としては物足りない数字に見える。

中国人を引き付けている理由

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