イトーヨーカ堂「上場検討」がなんとも心配な理由 顧客理解が欠如したままで、本当にうまくいく?
東洋経済オンライン / 2024年4月12日 20時30分
4月9日、セブン&アイ・ホールディングスが、イトーヨーカドー(以下、ヨーカドー)を運営する「イトーヨーカ堂」を中核とするスーパー事業の上場を検討していると報道され、翌日の会見で詳細が明かされた。
【写真】ニコアンドの「アダストリア」と組むヨーカドー、でも「こっちの事業」にすべきでは?
4年連続の最終赤字を受けて、ヨーカドーが北海道などの複数地域から撤退するという報道があった際、筆者は3回にわたってヨーカドーのレポートをしてきたが、果たして上場によって状況は変わるのだろうか?
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会見内容や、現在のヨーカドーの改革の進捗状況を見ながら、その可能性を探りながら、ひとりのヨーカドーファンとして「こんなヨーカドーになったらいいなあ」という想いを胸に、大胆にも復活への提言をしてみた(お節介)。
ヨーカドーの改革を促す「上場」という判断
会見や資料の内容を要約すると、以下のようなポイントが浮かび上がってくる。
まず、業績不振が続くイトーヨーカ堂のスーパー事業について、2027年以降の株式上場を目指す方向で検討が進められているという。
これにより、イトーヨーカ堂に自律的な財務体制の立て直しを促す一方、セブン&アイ・ホールディングスとしては経営資源をコンビニ事業に集中させることができる。イトーヨーカ堂の最終決算が4年連続赤字という状況を踏まえれば、セブン&アイ・ホールディングス側の危機感は相当なものだったと推察される。
セブン&アイ・ホールディングスとしては、コンビニ事業を中心とした経営資源の選択と集中を進める狙いがあるのだろう。上場によって、イトーヨーカ堂に自律的な経営を促しつつ、グループ全体の最適化を図る。それが狙いかもしれない。
……ということで、イトーヨーカ堂には、自力での財務状況改善に向けた抜本的な改革案が求められているわけだが(実際、発表ではイトーヨーカ堂に対する月次モニタリングにも言及されている)、その具体的な内容はまだ明らかになっていない。
このように、今後の改革案については見えていないところもあるものの、最近の報道では、ヨーカドーの改革は徐々に進行しているともいえる。
例えば、かつての主力であった「アパレル」事業からの完全撤退が発表されており、実際にアパレル大手で、グローバルワークやニコアンド、ローリーズファームなどを運営する「アダストリア」と提携し、店舗のアパレル売り場をアダストリアに委託する動きも出ている。
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