「インドカレー屋」実はネパール人運営が多い理由 産業が育たず、貧困で世界有数の「出稼ぎ国家」に
東洋経済オンライン / 2024年4月13日 12時10分
バターチキンカレー。巨大なナン。セットで800円。壁にはエベレストの写真が貼られている。切り盛りしているのは、インド人のような人で、気さくな感じがある……。
【写真】インネパで働くネパール人たちは、こういう場所から日本に働きに来ている
こんなカレー店に行ったことがないだろうか。これらは「インネパ」と呼ばれ、ネパール人が切り盛りするインドカレー屋として、ここ20年ほど、日本で激増している。そういえば、店内にはさりげなくネパールの国旗が飾ってあったりもする。
でも、よく考えたら疑問ばかりが浮かんでくるのではないだろうか?
なぜ、インドカレー屋なのにネパール人がオーナーなのか? なぜあそこまで安くカレーを提供することができるのか? そもそも、どうしてこのような「コピペ」したかのような店が全国各地にあるのか? 謎は尽きない。
そんな「インネパ」の謎に迫ったのが、ジャーナリストの室橋裕和さん。室橋さんは3年もの月日をかけ、インネパの実態に迫り、それを『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』にまとめた。そんな室橋さんに、激増するインネパの謎についてお伺いした。
さまざまな要因で増えてきた「インネパ」
インネパが増えた背景は、複雑だと室橋さんは言う。
「もともと、日本のインド料理店では、ネパール人が多く働いていました。彼らが独立して、お店を始めるようになったことからインネパが生まれ始めます。
また、バブル期に日本に出稼ぎに来るネパール人が増えたり、1990年代のバックパッカーブームでネパールに行く日本人が増えたりして、日本人とネパール人の出会いが増え、結婚したカップルが日本で店を開くことも多かったようです。それと、2000年代、ビザの取得要件が緩和されたことも大きい」
こうして徐々にインネパは増え、その中から日本人の好みに合うようなメニューが徐々に形成されていった。『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』では、そのルーツを紐解きつつ、インネパがインド料理ともネパール料理とも違う、日本に適応した独自の味に変化したことが詳細に書かれている。
さらに、この20年ほどの激増の大きな要因になったのがブローカーの存在だ。
「制度が変わり、外国人でも500万円を投資すれば『経営・管理』という在留資格(ビザ)を持って会社を経営できるようになったんです。
最初のうちは親族からそのお金を集めていたのですが、これでコックから社長になるネパール人が増えました。すると今度は自分の代わりのコックが必要になる。だからコック経験のある親族を呼んで調理の分野で『技能』の在留資格を取らせて働いてもらう。で、このコックがまた経験を積んでお金が貯まると『経営・管理』を取って独立していく……。
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