サラリーマンよ、昭和の一社懸命はもうやめよう 「物価と賃金の好循環」へのいちばんの近道とは
東洋経済オンライン / 2024年4月13日 8時30分
なぜそんなことが必要なのかって? それは「トランプ2.0」(「もしトラ」よりも上品なので、最近はこっちの表記が増えている)に備えてのことだ。次期大統領がトランプ氏になったら、彼はIRAを破棄しようとしてくるだろう。そこでアメリカの「脱炭素政策」が後戻りしないように、日本側に「フックをかけよう」としているのだ。
「昭和のシステム」が崩れれば日本の賃金は上がりやすくなる
ことほど左様に、日本経済の戦略的価値は上がっている。ところが肝心の日本人自身が、とっても悲観的なムードを引きずっている。物価上昇は止まらないし、賃金は上がらないし、ろくなことはなさそうだよねえ、ということである。
そこで問題は、「物価と賃金の好循環」をどうやって実現するのか、ということに回帰する。前回の記事では「来年の春闘が大事」「3年連続の賃上げを」などと書いたけれども、それはあまりにも悠長すぎるかもしれない。
と思っていたら、4月8日の日本経済新聞朝刊に「中途採用5割迫る、24年度『新卒中心』転換点」という記事が出ていた。2024年度の採用計画に占める中途採用比率は、過去最高の43.0%となったそうだ。そうそう、これだよ、これ!
察するに多くの日本企業が「これからの本格的な少子化時代、新卒だけではとても人員の補充ができない」と考えているのであろう。だからその分は中途採用を増やすしかない。となれば、キャリア採用は「売り手市場」となる。わが国の雇用の流動化は進むし、当然、賃金も上昇するはずだ。
前回の記事では、アメリカ経済の名目賃金上昇率が2000年以降で年平均3.2%だった、というデータもご紹介した。CPI(消費者物価指数)の年平均2.6%を上回っていて、堂々の「物価と賃金の好循環」である。なぜそんなことが可能かと言うと、アメリカは雇用の流動性が高くて、ひとつの会社に安住しない。そして「待遇改善は転職で勝ち得る」ことが当たり前となっているからだ。
当連載の仲間であった、経済評論家の故・山崎元氏はよく、「日本の給料が安いのは、日本人が会社を辞めるガッツがないからだ」と言っていたものだ。彼のように、生涯に12回も転職する必要はないと思うけれども、サラリーマンが「一社懸命」を前提とする昭和のシステムが崩れてくれば、この国の賃金ははるかに上がりやすくなるはずだ。
「物価と賃金の好循環」には、それがいちばんの近道なのではないだろうか(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
この記事に関連するニュース
-
GDP2%減の衝撃、順序が逆の「好循環」個人消費は「リーマンショック」以来の4四半期連続マイナス【播摩卓士の経済コラム】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月18日 14時0分
-
貯蓄ガタ減り…GDP個人消費「4四半期連続マイナス」の衝撃! リーマン・ショック以来15年ぶり
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月17日 15時3分
-
高まる「賃上げムード」も恩恵を感じないのはなぜ?賃金が上がっている世代とは【専門家が解説】
オールアバウト / 2024年5月16日 21時50分
-
インタビュー:円安対応、日銀は利上げ待つべき=渡辺東大教授
ロイター / 2024年5月10日 10時34分
-
「景気回復の実感」ないのに株価が上がる納得理由 株価は再び上昇トレンドに向かっていくか
東洋経済オンライン / 2024年4月25日 6時50分
ランキング
-
1道路舗装、新たに違反12件 NIPPOが原因調査
共同通信 / 2024年5月22日 20時39分
-
2ファンド提案に反対決議=来月総会、社長解任案に対抗―北越コーポ
時事通信 / 2024年5月22日 21時31分
-
3セブンプレミアム、累計売上15兆円突破 最も売れた商品は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月22日 14時40分
-
4東電料金、7月は392円高=政府補助終了、他電力も上昇へ
時事通信 / 2024年5月22日 17時27分
-
5トヨタが日本初の営業利益5兆円超 今期は減益で足場固めの年に
財界オンライン / 2024年5月23日 7時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください