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YouTuberの論理がZ世代に与える絶大な悪影響 苦言を呈する「アンチ」に「アンチ」する世界観

東洋経済オンライン / 2024年4月17日 11時40分

若者のSNS利用において、もはやツイッター(現X)は相対的に人気の高いSNSではない。ツイッターを眺めていると戦慄する。どうしてここまで酷いことを関係ない立場から他者に言えるのだろうというコメントが並ぶ。そりゃ若者がツイッターから離れるわけだ。有名人に対して否定的な立場をとる人々、これを総称してアンチと呼ぶ。

アンチ巨人という(古い)言葉があるように、アンチ自体は新しくも珍しくもない。ただ現代では、アンチ行為が可視化され世界に公開されるので悪目立ちしやすい。そして、現代のインフルエンサーは新しい概念――言うなれば「アンチ─アンチ」――を生み出したのだ。

「アンチ─アンチ」というマーケティング手法

炎上した(しかけている)インフルエンサーは、高確率でこういう投稿をしている。

「アンチが言いたい放題してますけど、私は気にしてません。私は自分を応援してくれる人がいればいいし、それで幸せなので」

で、ファンはこうリプライする。

「ですよね。アンチは気にしないでくださいね」
「アンチがいくらいたとしても、私はあなたの味方です」

自分を攻撃する人々をアンチと見なし、逆にアンチをアンチすることで、「仲間」の結束を高めるのである。

2023年11月、とあるインフルエンサーがニュースになった。界隈では有名な振付師の方らしい。ダンスと相性抜群のTikTokで人気。で、その方が酔っ払ってコンビニに入って、思わず踊ってしまって、で、その動画を公開したのだという(書いてて意味わからないけど、こうした些細な行為の一つ一つが世界に公開され、そしてその行為への評価すら「一概に決めつけてはいけない」と相対化するのが、現代という時代である)。

ファンは、推しの投稿にときめく。「酔っててもめっちゃかっこいい〜」「カッコよすぎて死にそうです。惚れてしまった」。しかし、アンチも黙っていない。「こんなところで撮ったら迷惑だよ」「コンビニで踊るのは非常識だし迷惑すぎる」。
そして、インフルエンサーの返しの一撃。

「コンビニで踊ったらアンチが沢山来ました」

と、ホントに投稿したらしい。

「アンチ─アンチ」がもたらすビジネス上の利益

コンビニで踊るのは非常識で迷惑だよ、そんなのネットで公開するなよ、というコメントは、インフルエンサーやファン相手には必ずしも常識的なリアクションだとみなしてはもらえない。現代における価値観の多様化と相対主義の跋扈は、もはやそんな常識など解体してしまっているのだ。不快な非難はぜんぶアンチ。

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