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部屋探しの「不動産ポータル」が役割を終える日 生成AIの活用が加速、「AI不動産」の現実味

東洋経済オンライン / 2024年4月17日 11時20分

東京の渋谷・港・新宿区を中心に不動産事業を展開する東京オルガン不動産でも、不動産情報サイト「アーバンスイート」で今年1月から「AIニュアンス検索機能」の提供を開始した。開発したのは2023年4月に発足したばかりのスタートアップ、インターセクト。開発系ベンチャーの立ち上げは3回目となるエンジニアたちが注目したのが不動産業界だった。

「大手ポータルサイトに広告費を払う負担が重いので独自の不動産情報サイトを作成してほしいと依頼されたのが最初。GPT-4を使って言葉のニュアンスだけでなく物件写真から部屋の雰囲気を読み取って物件探しができるようにした」(松井大樹COO=最高執行責任者)

サイトに掲載する物件の情報を整理する「情報化」の作業は、不動産事業者にとって手間がかかる。他のサイトにすでに掲載されている物件の情報をそのままコピーして掲載するのはルール違反になるので、生成AIを使って書き換える機能も搭載し「情報化」の負担軽減を図った。これによって地場の中小宅建事業者でも、AIを活用することで情報サイトを充実させて「集客」につなげることが可能になりつつある。

実用段階に入ってきたAIアバター

②のAIアバターも、すでに実用段階に入ってきている。国内トップシェアのAI音声認識「AmiVoice」のアドバンスト・メディアでは、2023年10月にChatGPTとの連携機能を搭載したAI音声対話アバター「AI Avatar AOI(アオイ)」を正式リリースした。製造・物流、医療などビジネス分野で音声認識を活用するには専門用語などをAIに学習させる必要があるが、同社ではすでに建設・不動産向けのAmiVoiceを製品化している。

「物件の特性や市場動向などのデータを学習および活用できる不動産向けの生成AIとAI音声認識が連携することで、不動産に関するさまざまな質問にAIが回答することは技術的にも実現可能なところまで近づいている」という。

③、④の予測は、リクルートなどの不動産ポータルサイトで物件検索を行う必要がなくなり、不動産ポータルサイトは役割を終えるという意味だ。それを実現する技術が「行動するLLM」と言われるLAM(大規模行動モデル)である。AIが言葉を出力するのではなく、行動を出力する。つまりAIがブラウザ操作を行ったり、ロボットを操縦したりできるようにする技術だ。

AI研究の第一人者である東京大学大学院の松尾豊教授は、今年3月に日本記者クラブで記者会見し、いまLAMの研究が世界中で急速に発展している状況を指摘。筆者の質問に対して「1~2年で実用化されるだろう」との予測を明らかにした。

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