部屋探しの「不動産ポータル」が役割を終える日 生成AIの活用が加速、「AI不動産」の現実味
東洋経済オンライン / 2024年4月17日 11時20分
現在は不動産情報サイトのノムコムもアーバンスイートも、サイト内に掲載された物件しかAIで検索できないが、LAMが組み込まれれば、インターネット上のすべてのサイトを検索して、利用者が求める物件を探し出せるようになる。宅建業者は、売り主から預かった物件を自社サイトに掲載すれば「AI不動産」が検索してくれるようになるので、広告料を払って不動産ポータルサイトに物件を掲載する必要がなくなるというわけだ。
将来的にLAMが搭載された「AI不動産」が実現すると、④のような「不動産データバンク」を構築しなくても物件検索が容易に行えるようになる可能性がある。ただ、物件を識別しやすいように国土交通省が推進する「不動産ID」をすべての物件に付与しておいた方がスムーズに物件を検索できる「AI不動産」が実現できるだろう。
利用者に質問できる「AI不動産」は実現するか
「AIが利用者に対して的確に質問してくれるような機能を実現できないだろうか」——ノムコムにAI検索機能を先駆けて導入した野村不動産ソリューションズの前副社長で、4月から野村不動産ホールディングスの執行役員DX推進統括に就任した榎本英二氏はAIの進化に期待をかける。確かに優秀な営業マンは、顧客の要望を聞くだけでなく、潜在的なニーズを引き出して満足度の高いサービスを提供することが重要だからだ。
では、⑤の利用者に質問できる「AI不動産」は実現するのか。今年2月末に生活者の視点から社会やビジネスにおけるトレンドをまとめている「アクセンチュア ライフ トレンド2024」を公表したアクセンチュアの番所浩平マネジング・ディレクターは、生成AIが質問することは可能だという。
「ライフ トレンド2024でも紹介したように、複数の宿泊予約サイトを検索して、その結果から生成AIが宿泊料金の値下げ交渉を代行するような機能も実現できると予測しており、利用者の問いかけに応じて生成AIが質問する機能を搭載することもできるだろう」(番所氏)
最後に⑥の「AI不動産」が資金計画などの相談に乗ることができるのか。不動産流通大手の東急リバブルは、今年3月に三菱UFJ銀行が提供する資産形成総合サポートサービスのスマホアプリ「マネーキャンバス(MCV)」上で、新築マンション購入者を対象にした資産査定サービスなどを提供する連携システム「MCV in 東急リバブル」の開発に着手した。
日本でも3年ほど前からAI査定を導入する不動産企業が増えてきた。その背景については東洋経済オンラインに掲載した記事「マンション価格『人工知能の査定』が高精度なワケ」で詳しく書いた。
AIで顧客が保有する資産価値を「見える化」
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