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「3大映画祭制覇」濱口竜介語る"日本映画の課題" 国際的評価をされても大ヒットにつながらず

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 12時30分

濱口竜介監督(写真:本人提供)

『ドライブ・マイ・カー』(2021年)で「第74回カンヌ国際映画祭」の脚本賞を含む4冠を獲得。「第94回アカデミー賞」の国際長編映画賞も受賞し、その名を映画界以外にも広く知らしめた濱口竜介監督。

【写真】濱口監督の話題の最新作『悪は存在しない』

昨年は最新作『悪は存在しない』(4月26日公開)が「第80回ヴェネチア国際映画祭」銀獅子賞(審査員大賞)を受賞し、『偶然と想像』(2021年)の「第71回ベルリン国際映画祭」銀熊賞(審査員グランプリ)受賞とあわせて、世界3大映画祭の主要賞を制覇した。

黒澤明監督以来の日本人映画監督としての快挙が国内で脚光を浴びる中で、世界からは日本を代表する映画監督として注目を集めるとともに、日本映画界の近年の充実ぶりも世界に示した。

そんな“時の人”に、『ドライブ・マイ・カー』(興収13.7億円)でも大ヒットにはならない日本映画界での商業的な成功に対する意識と、独立系映画の苦境、日本映画界の課題について聞いた。

ヴェネチア国際映画祭での受賞

――世界3大映画祭のうちの2つ、カンヌとベルリンで主要賞を受賞されたあとは、3つ目となるヴェネチアも狙っていたのでしょうか。

いえ、そんなことはないです。本作(『悪は存在しない』)がヴェネチアの(金獅子賞を争う)コンペ部門に出品が決まったときは驚きましたし、コンペティションに出すからには受賞の可能性はゼロではないのはもちろんですが、正直なところ、まさか受賞するとは思っていませんでしたね。

――映像作家として作品を作るうえで、世界3大映画祭での栄誉は目指すべきところなのでしょうか。

一概にそうは言えません。ただ、自分が作っているような独立系の映画は、日本の興行のメインストリームであるエンターテインメント大作とは異なります。

そういう小規模な予算の映画が観客の認知や関心を得ることは難しい現状があります。だから、映画祭で評価を受けることは確実にその一助になるとは思います。国際映画祭で話題にならないと職業としてやってはいけないだろうなと、30代前半くらいまでは漠然と思っていました。

世界の映画祭で受賞するためのテクニック

――世界の映画祭で受賞するためのテクニックや、作品の調整などはあるのでしょうか。

30代後半、実際に映画祭に選ばれるようになって、映画祭のプログラマーなどと話す機会を得ると、必ずしも映画祭への「選ばれやすさ」を想定して作品を調整するようなことがなくても、自分自身の価値基準や価値判断をそのまま先鋭化させて作っていけば、国際映画祭の基準にもかなう、ということがわかってきました。要は映画として磨いていくということに尽きます。

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