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市場の「見えざる手」による企業の監視は有効か? 企業はなぜ存在し、社会をどう変えてきたのか

東洋経済オンライン / 2024年4月19日 8時20分

利益を追い求める企業は社会に発展をもたらすのでしょうか? それとも破滅をもたらすのでしょうか?(写真:Ryuji/PIXTA)

企業は世界の動向につねに多大な影響を及ぼしてきた。そして企業は、誕生した当初から、共通善(社会全体にとってよいこと)の促進を目的とする組織だった。しかし今、企業はひたすら利益だけを追い求める集団であり、人間味などとは無縁のものであると考えている人は多い。では、企業はどこで、どのように変節してしまったのか? 今回、古代ローマの「ソキエタス」から、現代の「フェイスブック」まで、8つの企業の功罪を通して世界の成り立ち知る、『世界を変えた8つの企業』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

「企業」とは何か?

そもそも企業(コーポレーション)とは、具体的に何を指すのか。

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事業体と同義語のように使われることも多いが、企業と事業体とは同じではなく、ある決まった形態や構造をもつ、特定のタイプの事業体のことを企業と呼ぶ〔英米における「コーポレーション」と日本語の「企業」とはイコールではないが、本書では、「企業」という語は基本的に、ここで定義されている「コーポレーション」の意味で用いる〕。

企業という概念は共和政ローマで初めて生まれたもので、英語のコーポレーションという語は、「体」を意味するラテン語コルプス(corpus)に由来している。では、具体的に企業とは何かというと、この由来にも示唆されているとおり、個人の集まりが、法律にもとづいて、一体化したもののことである。

それまで個人の集まりだったものが、企業になると、個々のメンバーの人格とは別個の人格として、行為することも、行為の対象にすることもできる。

英語以外の言語では、企業を表す語が古代ローマで企業を表すのに用いられていたもとの語ソキエタス(societas)にもっと近いこともある。例えば、イタリア語では、企業はソチェタ・ペル・アッツィオニ(società per azioni)、つまり「株式会社」と呼ばれる。ここに企業の第二の重要な特徴が示されている。すなわち株式と株主の存在だ。

企業が一般の投資家に向けて、株式を発行し、それらの投資家からお金を集められるということは、経営に携わる重役たちの所持金だけでなく、世の中にある広大な資本の海を利用できることを意味する。

さらにもうひとつ、事業を営むうえでたいへん好都合な特徴が企業にはある。それは有限責任という特徴だ。

パートナーシップの場合には、事業が失敗すると、パートナー全員が責任を負うが、企業の所有者は、企業の負債を返済する義務を負わない。株主は株の購入のためにお金を一度支払ったら、あとはもう、事業がどれだけ悪化しようとも、債権者から取り立てを受ける心配はない。

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