日本の選択「年収の壁の廃止」か「移民に参政権」か 「扶養控除」をなくし「子ども支援」を徹底すべき
東洋経済オンライン / 2024年4月19日 10時0分
この負担を考えると、持続性がない社会保障制度を断念するか、経済を成長させるしかありません。
経済成長を支える2つのエンジン
経済は、人口増加とイノベーションによる賃上げの2つの要因がエンジンとなって成長します。歴史的には、この2つの要因が経済成長に寄与する割合は、およそ半分ずつでした。
しかし、日本ではすでに人口が減少するフェーズに入ってしまっているので、経済成長の要因の1つである人口増加要因がマイナスになってしまっています。これは経済成長の大きな足かせです。
GDPは「人口×労働参加率×労働生産性」という数式で表せます。
つまり国の経済は、人口×労働参加率という量で成長するか、イノベーションという質で成長するか、そのいずれかしかないということです(もちろん両方ともプラスなら、大きな成長につながります)。
人口が減るのであれば、労働参加率や労働生産性を上げていかないと、経済の規模は縮小します。
実際に日本の場合、人口の減少によって政府や地方自治体の財政に余裕がなくなりつつあり、これまで無料だったさまざまなことを有料化せざるをえなくなっています。
増税をしなくてはいけなくなったのも、物価上昇も、さまざまな公共サービスが相次いで廃止されているのも、すべて原因は同じです。
今後、私たちが懸念しなくてはいけない最大の問題は社会保障です。
繰り返しますが、1990年度の日本の社会保障費は約47.4兆円でGDPの約10.2%でした。しかし、2023年度には約134.3兆円と約2.8倍にも増えて、GDPに対する割合も約23.5%まで急上昇しています。
これを10年ごとのスパンで生産年齢人口1人当たりに直すと、以下のように計算できます。
生産年齢人口1人あたりの社会保障費負担
1990年:55万1372円
2000年:90万5952円
2010年:128万2554円
2020年:177万771円
2023年:181万7813円
日本では生産年齢人口の減少が今後も長く続くので、社会保障支出が仮に横ばいに推移したとしても、現役世代1人当たりの負担は、次のように急増します。
生産年齢人口1人あたりの社会保障費負担(予想)
2030年 198万2873円
2040年 232万719円
2050年 268万5463円
2060年 303万9837円
2018年に、厚生労働省は2040年度の社会保障支出が約190兆円まで増えると予想しました。生産年齢人口で割ると、約328万円の負担となります。
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