日本の選択「年収の壁の廃止」か「移民に参政権」か 「扶養控除」をなくし「子ども支援」を徹底すべき
東洋経済オンライン / 2024年4月19日 10時0分
こんな金額を1人ひとりが負担することは到底不可能です。つまり、今のままでは日本の社会保障制度には持続性がまったくないのです。
この社会保障負担の激増に対応するためには、全力で生産性と賃金を上げて、税収を増やす必要があります。
実は今から本格化する人手不足
本記事のタイトルで「移民に参政権」と書きました。社会保障の激増への対応に、なぜ、参政権が関係してくるのか、ここから説明していきます。
先ほど紹介した計算式にあったように、人口1人当たりのGDPは「労働参加率×労働生産性」という計算式によって決まります。
では、日本で労働参加率を今より上げることはできるのでしょうか。
日本では生産年齢人口が1994年のピークから、すでに1400万人も減っています。しかし、一方で就業者数は増えています。第2次安倍政権以降、特に45歳以上の女性と、さらには高齢者の労働参加率が劇的に上がった結果、労働参加率は世界最高水準に達しているのです。非正規雇用の比率が上がっている原因はここにあります。
すでに「人手不足」が顕在化し、社会問題として騒がれ始めていますが、実は2060年に向かって、生産年齢人口はさらに約3000万人も減ると予想されているのです。
総務省の労働力調査によると、2024年2月の時点で、日本の生産年齢人口の78.6%は就業しています。男性は84.0%で、女性は73.0%でした。20~69歳の労働参加率は80.6%でした。
労働参加率が高くなって、生産年齢人口が減るので、将来的に就業者数を維持することが困難なのは自明です。人手不足は始まったばかりです。これからさらにさらに深刻になります。
「高齢者の活躍」には限界がある
この問題の対策として、「高齢者にもっと労働してもらえばいい」という意見も耳にします。
しかし、高齢者自身の平均年齢が上がっているので、仮に今まで以上に高齢者層の労働参加率が高くなったとしても、生産性の極めて低い層ができあがるだけの結果になるのは想像にかたくありません。
結局、経済規模を維持するために、論理的に残される選択肢は、次の2択です。
(1) 女性活躍によって労働生産性を上げる(質の向上による成長)
(2) 移民を増やして労働者の数を維持する(量の増加による成長)
先ほど説明したように、日本では第2次安倍政権以降、女性の労働参加率が上昇しましたが、生産性を向上させる結果には結びついていません。
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