日本の選択「年収の壁の廃止」か「移民に参政権」か 「扶養控除」をなくし「子ども支援」を徹底すべき
東洋経済オンライン / 2024年4月19日 10時0分
たしかに女性の労働参加率は上昇しましたが、前回の記事で説明したように、新たに職に就いた女性の大半はアルバイトかパートで、最低賃金かそれに近い報酬しか手にできていません。
なぜ女性の生産性は上がらないのか
最低賃金またはそれに毛の生えたような低賃金しかもらえていないということは、付加価値の低い仕事しか任されていない実態を映し出しています。
アルバイトとパート、つまりフルタイムではない人が多いので、働いている人数は増えますが、働いている時間は正規雇用と比べて短く抑えられています。とりあえず、何らかの形で仕事についた人は増えたものの、フルに活用されていない人が増えただけというのが実態なのです。
日本人女性の能力は、男性と比較しても決して低くはありません。そのように高い能力を備えているのにもかかわらず、彼女たちの収入は20代でピークを打って、その後はずっと下がり続けてきたのがこれまでの現実です。
女性の収入水準を男性と比べると、20~24歳で86.8%になるものの、それ以降は55~59歳までずっと下がってしまってきました。結果として、日本の場合、女性の所得は男性に比べて平均55.4%にとどまってしまっています。
ちなみにアメリカの女性の所得は男性の83.0%ですので、日本でいかに男女の収入格差が開いてしまっているか、理解していただけると思います。
日本とアメリカの差は雇用形態の差
この差の最大の原因は雇用形態です。日本の女性は男性と違って、25歳から64歳まで、圧倒的に非正規雇用が多いです。2022年末では、男性の正規雇用比率は77.5%だったのに対し、女性は45.6%しかありませんでした。女性は労働力の47.1%を占めていますが、女性の非正規雇用は男性の2.2倍で、68.3%を占めていました。
日本の労働生産性を上げたいならば、女性の生産性と賃金を上げるべきです。なぜなら、いままであまりに低水準に抑えられてきたため、大きな伸びしろが残されているからです。
年収の壁による経済損失は単純計算で、年間137.7兆円となっています。その根拠は、男性の平均所得にアメリカの対男性の女性所得比率をかけて、その結果を働く日本人女性の数にかけた結果が、137.7兆円となるからです。
要するに、545万円の男性所得に比べて、女性の所得は現在302万円ですが、男性の83%ならば、女性の所得は452万円になります。150万円も増えて、1.5倍となります。それを働く3045万人の女性に当てはめると、137.7兆円となるわけです。
なぜ日本の女性の生産性と賃金は低いのか
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