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日本の選択「年収の壁の廃止」か「移民に参政権」か 「扶養控除」をなくし「子ども支援」を徹底すべき

東洋経済オンライン / 2024年4月19日 10時0分

もとはどんな意図で導入されたかはともかく、これらの壁の存在によって、女性たちはこれらの壁を超えないように労働時間を調整しています。つまり、今の税制は女性が供給する労働時間を制限する結果をもたらしているのです。

人口が増加していた時代に設けられたこの制度は、そもそもはそんな意図はなかったのかもしれませんが、人口が減少し続けている今、そのひずみが際立ってきてしまっているのです。

日本の女性は学力も能力も高いのにもかかわらず、税制の影響で労働時間が制限されてしまうため、正社員ではなくアルバイトやパートといった非正規雇用を選んでしまいがちになります。その結果、生産性の高い仕事に就くのが難しくなってしまっているのです。

最低賃金引き上げの議論では、「年収の壁があるため、最低賃金を引き上げると、女性の労働時間がいっそう短くなり、人手不足が悪化する」という声も上がっています。

政府は年収の壁の「金額」の引き上げなども検討しているようですが、この考えはそもそも間違っています。ここまで社会保障の負担が劇的に重くなり、国民負担率を重くしているので、労働供給と賃金に悪影響を与える税のゆがみは、小手先の修正では解決できません。制度自体を完全に廃止するべきです。

北尾教授らの論文が示すように、配偶者の扶養控除の金額を上げるのではなくて、完全になくすべきです。そして、女性たちに働きたいだけ働いてもらい、稼ぎたいだけ稼いでもらって、所得税などを普通に支払ってもらえばいいのです。

現行の制度では、女性の場合、結婚することで所得を制限されてしまうことになります。結婚というのはそもそもパートナーと幸せになるための行為なのにもかかわらず、今の制度では「Marriage penalty」とでも呼ぶべき罰金が科されることになってしまっています。

また、今もらっている人以外、第3号被保険者制度も廃止すべきです。ここまで社会保障の負担が重くなっているのに、保険料を納めていない人でも年金がもらえる制度は、持続することも不可能ですし、正当化する理屈も見当たりません。

そもそも、この制度は130万円の壁の原因で、明確なモラルハザードとなっています。制度が創設された1985年時点では、まだ余裕があったので導入されましたが、今の時代では存続させる理由がまったく理解ができない「愚制度」でしかありません。

このように百害あって一利なしの制度をさっさと整理・廃止する一方、諸外国のように子ども手当などは充実させるべきでしょう。

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