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異国で「大動脈解離」の73歳、14時間の長旅の結末 車椅子に乗って10000キロ以上の大移動

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 12時5分

遠く離れた異国で「大動脈解離」になった73歳の女性。14時間、1000キロにも及ぶ”長旅"の様子とは?(提供写真)

ツアーナース(旅行看護師)と呼ばれる看護師たちの存在をご存じでしょうか?

「最期の旅行を楽しみたい」「病気の母を、近くに呼び寄せたい」など、さまざまな依頼を受け、旅行や移動に付き添うのがその仕事です。

連載第7回は前編に続き、スペインのオルメドという町に夫婦で住むロレンソ文恵さんのエピソード(後編)をお送りします。日本へ帰国中に大動脈解離を起こし、その後の再発によってスペインで下半身麻痺に。しかし、とある事情から家族での日本への移住を余儀なくされ、ツアーナースの手を借りながら帰国へと動き出します(本記事は「日本ツアーナースセンター」の協力を得て制作しています)。

下半身麻痺のまま日本へ帰ることに

2023年2月、スペインのオルメドで大動脈解離を再発し下半身麻痺となったロレンソ文恵さん(73)。スペインでの治療や介護に限界を感じ、日本に帰国することになったのだが、日本まで地球を半周する20時間以上の旅だ。家族だけではとても手に負えない。息子のロレンソ聖司さん(35)がたどり着いたのが日本ツアーナースセンターだった。

【写真で見る】実際の移動時の様子

文恵さんは、2023年の5月にスペインにある病院を退院し、家族会議を行うために息子の聖司さんはスペインに渡った。

「3週間にわたる滞在でしたが、職場の協力もあり、現地からテレワークで業務を行いながらゆっくりと家族会議を行うことができました。日本に戻ってきた今もテレワーク中心で業務ができているため、何とか介護・子育てもできています。会社には本当に感謝しています」

文恵さんの症状は安定期に入っていたが、下半身麻痺のために介護が必要だ。スペインの公的な介護サービスは日本ほど充実してはいない。必要なサービスを受けるためには、日本円で月額数十万円の費用がかかる。老後を暮らすには負担が大きすぎた。

家族会議の結果、その年の12月に日本に帰国する方針が固まった。旅の手配をするのは聖司さんだ。

スペインから日本まで1万キロ以上の大移動

まずは、オルメドからマドリード空港まで、約150キロを移動しなければならない。

「それだけは父にお願いしました。母は車椅子なので、日本で言う介護タクシーが必須です」(聖司さん)

文恵さんの夫、ロレンソ・イエズスさんの話。

「オルメドは田舎町なので、介護タクシーを持っているような会社はありませんでした。そうこうしているうちに、隣町に一社だけ車椅子ごと乗れる大型ワゴンのタクシーを持っている会社があることがわかりました」

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