「脱炭素の次は水」。企業が迫られるリスク対応 先進企業から学ぶべき「流域での連携」戦略
東洋経済オンライン / 2024年4月20日 8時0分
2023年は、世界中で「水リスク」が問題になった年だった。
日本では新潟県などで高温・渇水による稲の枯死や品質低下が生じ、コメ作りに大きな被害が発生した。オレンジジュース販売の一時休止に追い込まれた飲料企業もある。ブラジルのオレンジ生産地で洪水が多発したためで、輸入量の約6割を依存する日本は大きな影響を受けた。
製造業も水リスクとは無縁ではない。2020年から2021年にかけては、製造過程で膨大な水を使用する半導体生産の世界シェア6割が集中する台湾で、降雨量の減少などによる水不足が発生。その年の半導体生産に甚大な影響を及ぼした。
食品・飲料の原料となる農産物生産、半導体など精密機器製造、衣料品の製造など、あらゆる企業活動が「水」に依存している。その一方で、世界各地で「水リスク」が増大している。
元々リスクの高い地域で降雨パターンが変化し、さらなる負荷をかける形で企業活動が行われ、水や水環境を支える淡水生態系が損なわれている例も少なくない。
世界で顕在化する水リスク
日本は水が豊富な国だと言われているが、私たちの食や暮らしは海外の水なしに維持できない。つまり、膨大な「バーチャルウォーター」に支えられているのである。
バーチャルウォーターとは、農作物や工業製品を輸入している国(=消費国)において、もしそれらを生産するとしたら、どの程度の水が必要か推定したものだ。輸入大国である日本が輸入する農作物や工業製品の原材料の生産過程では、膨大な水が不可欠だ。間接的に、日本は水を世界各地から輸入していると言える 。
本記事では、水と生態系、そして人との関係をひもとくとともに、企業はどのような水戦略・目標を立て、持続可能なビジネスを目指すことができるのかを、事例を交えて紹介する。
地球上に存在する「水(H2O)」の大半は海水が占めており、その他氷床・氷河などを除くと、人がアクセス可能で、かつ再生可能な淡水は全体の0.19%程度と言われている。
そんなわずか0.19%の水が、現在、渇水や洪水、水質汚染などさまざまなリスクにさらされている。さらに、健全な水環境の維持にとって大切な淡水生態系もまた、水量の減少や汚染、水辺環境の改変によって、減少・劣化の一途をたどっている。
水資源の有限性は、決してひとごとではない。経済活動において、原材料の多くを輸入に頼る日本は、原材料生産地での水や淡水生態系に、大きく依存している。将来にわたり持続可能なビジネスを展開していくためにも、また、人々の衣食住を継続的に確保するためにも、生産地の「水」と、それを育む自然環境に責任があると筆者は考える 。 そして世界を見渡すと、すでに責任ある水利用管理に動き出している企業も実際に存在する。
ドイツ大手流通企業の先進的な取り組み
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