なぜ人々は21世紀に一段と結婚しなくなったのか それは近代資本主義がもたらした必然的な帰結
東洋経済オンライン / 2024年4月20日 8時30分
少子化は現代において自然な結果である。同時に、未婚化、独身率が上がっていることも当然の現代的現象であり、この主因は近代資本主義にある。
前者の少子化については、この連載の「『少子化は最悪だ』という日本人は間違っている」で議論したので、今回は後者の話をしよう。
少子化の解決策が難しいワケ
近代においては、賃金労働化・都市化が進み、共同体が崩れ、核家族化・個人化が進んだ結果、社会が流動化した。商品化・市場化・資本の動員化という経済的流動化と、社会的流動化とが相互のさらなる流動化を促進した。
日本でも「イエ」制度が崩れた。しかし、流動化は中途半端だった(逆に言えば、社会の重要な部分の完全な流動化を免れた)。
そのため、戦後、アメリカに迫られた結果として(あるいはアメリカ的なカルチャー、社会の世界的流行により)さらなる流動化が生じ、戦後、社会の流動化が部分部分で異なったスピードで進んだため、さまざまな移行過程の歪みが社会の至る所で生じている。
その1つが、男女の社会における役割分担のあり方であり、移行過程の現象として、少子化、晩婚化、未婚化、離婚率の上昇が起きている。
したがって、少子化対策を局所的な反応として行っても無効であり、対策を取るなら、社会全体に働きかける必要がある。しかし、それでも社会の変化の大きな流れにはあらがえないから、効果は小さいだろう。
解決策は、この社会の構造変化の移行過程の終了を待つしかない。そのとき、現在の欧米と同じような状況になる可能性があるだろう。
ただし、それが良い社会であるかどうかは別問題である。良い社会にするためには、政策として改善を積み重ね、試行錯誤を行い、現在の社会のメンバーである、われわれが将来のために努力することが必要である。
このような構造はいわばマクロ構造であるが、それと同時に、ミクロ構造的な面においても、資本主義の発展が(終盤に向かうことにより)、人々に「結婚」という「財」を避けるように仕向けているのだ。この経済的現象としてのミクロ構造が今回の主題だ。
そもそも人々はなぜ結婚をするのか
世間では、未婚化の理由として、貧困や経済的不安定性を挙げている。政策マーケットとしては、そのために、所得をどう支えるか、給付金を配るか、という議論ばかりしている。
これも前出の記事に書いたとおり、まったく間違っているのだが、そもそも「なぜ結婚しないのか」ではなく、「なぜ結婚をするのか」を考えるべきだ。
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