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なぜ人々は21世紀に一段と結婚しなくなったのか それは近代資本主義がもたらした必然的な帰結

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 8時30分

そのほうが生産的な議論であるのは、前提が大きく変わったからだ。昭和の(というよりも19世紀の価値観の)社会では結婚することが大前提であったが、21世紀では結婚しないことがデフォルトなのだ。「なぜ結婚する必要があるのか」という問題をクリアしなければ、結婚までたどり着かないのである。結婚しない理由ではなく、結婚する必要がある理由を探す必要がある。

では、そもそも、人々はなぜ結婚するのか。

現在においては、いわゆるおめでた婚がいちばんの理由だ。21世紀初頭に、政府の家計調査のデータを見ていたときに驚いたのは、10代および24歳までの世帯主の家計が既婚である場合は99%子供がいたという事実を発見したときだ。子供ができたならば結婚はしたほうがいいと考えた人が多かったであろう。

これに次ぐ第2の理由は、子供が欲しいから結婚するというものである。第1と第2は順番の違いだけであり、本質は同じだ。そして、その本質は、1つは「子供」というものだが、もう1つは結婚が「必需品」であるということである。

結論を先取りすれば、21世紀に人々が結婚しなくなった理由の2つのうちの1つは、「結婚」という「財」が「必需品」から「ぜいたく品」に変わったからである。

19世紀的な価値観の社会においては、結婚は必須だった。社会から、世間から、家から、強制された。しかし、今や義務ではない。

社会的な義務でない場合、結婚する理由はかつては経済的理由だった。女性は現金を稼ぐ機会が限られていたから、稼ぎのある(または資産のある)男性と結婚する必要があった。

男性は世間から結婚しないと一人前でないと見られていたから、社会的に成功するためには、結婚する必要があった。だから、結婚が義務ではなくなった昭和においても「必需品」であった。

しかし、それは平成では崩れ、結婚は「選択肢」となった。するかしないか、選べるようになったのである。「なくても生きていける、でも、あったらもっと幸せかもしれない」。人々は、幸せを増やすために結婚するかどうか考えるようになったのである。それまでは生きるための必需品だったから、これは大きな変化だった。これにより婚姻率は低下を始めた。

しかし、離婚率の上昇のほうが顕著だった。それまでは義務あるいは必需品だったものがそうでなくなったので、彼ら(彼女ら)は「結婚していない状態」を選択したのである。

しかし、21世紀に入って婚姻率の低下は加速した。その理由は何か。

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