なぜ人々は21世紀に一段と結婚しなくなったのか それは近代資本主義がもたらした必然的な帰結
東洋経済オンライン / 2024年4月20日 8時30分
結婚は「必需品」から「ぜいたく品」に変わった。しかし、「ぜいたく品」にも2種類のぜいたく品がある。それは、「ハレ」の日のぜいたく品と、「ケ」におけるぜいたく品である。結婚式はハレの日である。しかし、結婚生活は日常だ。
現代における日常の「ぜいたく品」とは何か
現代における日常の「ぜいたく品」とは何か。これが現代資本主義の本質である。すなわち、現代資本主義における経済成長とは、日常におけるぜいたく品の膨張過程であるからである。
資本主義が1492年のクリストファー・コロンブスのアメリカ大陸到達に象徴されるように、社会経済の流動化により始まった。その後、略奪などによる資本蓄積、それらの争奪戦という戦争を経過する中で、第1次産業革命が起き、商品市場化が進むが、経済成長は目立っては起きず、それは内燃機関と電気による第2次産業革命まで待たなければならなかった。
そして、第3次産業革命といわれる現代のコンピューター、IT、AI革命は、第2次産業革命ほどの生産性の向上をもたらしていない。生活の変化も19世紀後半から20世紀前半(アメリカにおいて。欧州は少し遅れ、日本はさらにその後)ほどではなかった。
これが、アメリカの経済学者、ロバード・ゴードンの設定した、最も重要な経済成長における謎(“The Rise and Fall of American Growth”, 2016)である。これは、ローレンス・サマーズ元財務長官らとの世界金融危機(リーマンショック)後の長期停滞論の論争としてもクローズアップされた。
第2次産業革命が決定的に重要な役割を果たした
サマーズ氏らは長期的に需要が不足していると主張し、大恐慌後の財政出動のような公共事業を主張した。一方、ゴードン氏は供給側の要因を挙げ、生産性の上昇率が低下している、第2次産業革命のインパクトに比してIT革命は広がりが小さく、供給側の要因で成長力自体が落ちており、19世紀後半から20世紀前半の奇跡の世紀は一度限りのものだと主張している。
ゴードン氏によれば、第2次産業革命の影響の広がりは、経済における生産性上昇・生活の改善において、歴史上、唯一無二のものだとし、これが奇跡の成長をもたらしたとしている。
私の考えは、第2次産業革命が決定的に重要だという点では一致しているが、その理由は異なる。
第2次産業革命により、家庭に電気が届いた。家電が生まれた。そして、「三種の神器」と言われる洗濯機、掃除機、冷蔵庫が登場し、水道、電気、ガスが家庭にネットワークとして届き、家事労働は一変した。
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