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なぜ人々は21世紀に一段と結婚しなくなったのか それは近代資本主義がもたらした必然的な帰結

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 8時30分

それにより差別化し、別のぜいたく品(前述のエンタメ品でも)から消費者を奪ってくるのである。スピード勝負。こうなると、すべてのプレーヤーが動こうとする。変化しようとする。前と違うものを生み出し、違うことをしようとする。

そうなると、必然的に将来は予測不可能になる。毎日の日常、繰り返しの安定した生活なら、明日に何が起こるかわかる。社会全体でもわかる。しかし、流動化し、変化を追い求める社会では、明日の予測が立つわけがない。だから、資本主義が加速すればするほど、将来はわからなくなる。

現在、もはや将来予測はできない。その理由は、前述の流動化・変化が20世紀初頭までは生産者側の競争によるものだったのが、それ以後、消費者側の変化、消費者の気まぐれにより経済社会が変化するようになったからである。

生産者が消費者の暇つぶしのエンタメ品需要の獲得競争をしているから、技術的な変化ではなく、消費者の嗜好の変化に対応して企業は予測し、行動しなければいけないが、これは非常に難しいのである。

消費者は気まぐれだし、エンタメ品を消費しすぎて、飽きるのが早くなってくる。だから、21世紀、さらに企業は変化の加速を求められている。となると、設備投資は難しくなる。技術的・品質的には世界最高のもので、この先10年は抜かれないと思っても、つまり、技術的な賞味期限が10年あっても、消費者は1年で飽きるかもしれない。

この現実を直視しないまま、技術的優位性、規模の生産による価格低下だけを狙って大規模な投資をした、シャープなどの日本企業は21世紀、失敗を重ねた。

20世紀には長期にコミットすることが価値で、競争優位をもたらしたが、21世紀には投資は2年で回収しないと消費者は移っていくのである。

結婚という投資を短期に回収するようになった

だから、アップルやファーストリテイリングのように他社に投資させるか、TSMCのように設備投資を巨大にするが2年で回収できるように、世界中の需要を取り尽くそうとする。これが、21世紀に「勝者総取り経済」になった理由である。

そういうことが成り立たない限り、企業としてはビジネスが成り立たないからだ。勝者総どりにならない限り、参入しないのである。

離婚率の上昇も、これとまったく同じ構造である。現代社会は、経済の影響を受けて、変化が速くなった。一生のことは約束もできないし、変化は当然だ。結婚も衣替えが必要だ。そして、それはお互いわかっている。だから、21世紀の離婚は、泥沼もあれば、「離婚後も良い友達」もあるのである。

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