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当事者すべてを「ハッピー」にしたイランの報復攻撃 イランがイスラエルからの報復を恐れずに攻撃できる理由

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 17時0分

イランの首都テヘランで、イスラエルによる攻撃を支持するデモ隊(写真・ゲッティ=共同)

2024年4月1日、中東・シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館領事部がイスラエルによる攻撃で将官7人が死亡したと発表した。これに対し、イランによるイスラエルへの報復が心配されていたが、同月13日、イランは報復攻撃を実施。またイスラエルはこの攻撃に対する報復を行った。

イスラエルがパレスチナ・ガザ地区のイスラム武装組織ハマスと戦い続けてすでに半年。ハマスやイスラエルの周辺武装組織を支援するイランが、今回のガザ戦争に関与することを、イラン国内ではどうみられているか。中東情勢に詳しいアビール・アル・サマライ氏が説明する。

2024年4月13日にイランが行ったイスラエル攻撃の決断は、実はイランにとっては難しいものではなかった。ガザでの戦闘が始まって以降、イランの「戦略的忍耐」は限界に達していたし、イスラエルがシリアのイラン領事館を攻撃したことで堪忍袋の緒が切れた。

イラン自らが報復せざるをえない状況であるという認識は、イラン社会すべての人たちの間で共有されていた。保守派や改革派、エリート、一般庶民を問わず、ほぼすべての人々が一致して攻撃に賛成した。

イランの誰もが報復攻撃に賛成

改革派の新聞のみならず一部の保守派の新聞までもが、遅きに失した。4、5年前に攻撃するべきだったと報じた。

皆の意見が一致したイスラエル攻撃ではあったが、攻撃を支持した理由はバラバラだった。

報復の目的を「革命防衛隊の指導者殺害への復讐」と考える者もいれば、西アジアにおけるイランの影響力を確固としたものにするためとか、シリアにおけるイスラエルの影響力を抑えるためには戦略的抑止力を行使してパワーバランスを保つ必要があるというのもあった。

さまざまな意見の中で物議を醸しているのが、イラン人宗教指導者メヘディ・ターリブ氏の「シリアはアフワズより重要」という発言だ。

アフワズというのはイラン西部・フーゼスターン州の州都だ。イランにおける石油埋蔵量の9割はこの地方にあり、住民の多くはアラブ人だ。

もともと、「シリアはアフワズより重要」と発言したメヘディ・ターリブ氏は、イラン最高指導者室に属する「アンマル」ソフトパワー戦争戦略本部理事長で、イラン聖地コムのハウザと呼ばれるシーア神学校の教授という人物だ。

イラン革命防衛隊の民兵組織バシジの学生動員部隊「学生バシジ」が運営するサイト「ダンシジョ」が2024年4月18日に、マハディ・ターリブ氏の次のような文章を掲載した。

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