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元「日比谷線車両」上毛電鉄でデビュー、なぜ実現? 運転台の仕様が異なり、試行運転を重ね習熟

東洋経済オンライン / 2024年4月23日 4時30分

上毛電鉄で新たに登場した800形(左)と現在主力の700形(筆者撮影)

上毛電気鉄道は、群馬県桐生市の西桐生駅から群馬県前橋市の中央前橋駅を結ぶ全長25.4kmの地方鉄道線である。

【写真でわかる】運転台には「T」字型のワンハンドルマスコン。元東京メトロ日比谷線の「03系」あらため上毛電鉄「800形」の現在の姿。

沿線は学校が多く、朝夕の通学時間帯はたくさんの学生が利用することから、時間帯によって、サイクルトレイン(自転車を車内に持ち込める列車)も運行されており、地域密着形のサービスを提供している。

主力は井の頭線で活躍した700形

鉄道施設には、登録有形文化財として歴史的にも貴重なものが多い。中でも西桐生駅は、1928年の開業に伴い建てられた駅舎で、昭和初期のモダンな洋風建築は深い歴史を感じる造りが印象的な建物である。

車両の主力は700形で、元京王電鉄・井の頭線で活躍していた3000系がワンマン化改造され、先頭車のみの2両編成として運行されている。そのほか、イベントや貸し切り運行が主ではあるが、1928年製の半鋼製車体の電車デハ100形が1両在籍している。

主力である700形も老朽化してきたことから、このほど東京メトロ日比谷線で運行されていた03系車両を改造したのち、2月29日より上毛電鉄で800形として運行を始めた。それに先立つ2月14日に行われた報道向け試乗会・撮影会に参加した。

【写真12枚】元東京メトロ日比谷線の「03系」あらため上毛電鉄「800形」の現在の姿など

橋本隆社長によると、最初に今回につながる話が出たのは今から3年前とのこと。「東京地下鉄(東京メトロ)から03系譲渡の打診があり、話が進んだ」という。

03系から改造を完了した800形車両の回送については、「改造工事を受注したメトロ車両が東京地下鉄・千住検車区構内で作業を行うことになり、東武鉄道と上毛電鉄の間で渡り線が現存していたことから、東京地下鉄、東武鉄道、メトロ車両、上毛電鉄が協議を重ね、各社の協力を得て、鉄路での甲種輸送(他社線を使って車両を輸送する)を実施した」とのことだ。

2023年12月9日の終電後、東京地下鉄千住検車区(南千住)から日比谷線と東武線の北越谷までは、自力で走行(回送)を行った(竹ノ塚駅の高架化が完了し、踏切や保安装置への誤作動の懸念がなくなったため)。北越谷から館林まで東武鉄道800型が牽引した。

翌10日の終電後にも館林から赤城まで東武鉄道800型が牽引輸送した。赤城からは上毛電鉄に入り、大胡までは上毛電鉄の700形が牽引した。大胡駅構内の入れ替えは、デハ101形が牽引した。年明けの2024年1月からは、ブレーキ性能の試験・誘導障害の試験(鉄道車両が鉄道信号装置などに、影響を与えないことを確認する試験)等、各種試験を実施した。

マスコンの仕様が異なる

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