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「早い者勝ち」が実は通用しなくなっている背景 私たちは「優先されるため」にいろいろしている

東洋経済オンライン / 2024年4月25日 17時0分

例えば、スターバックスではモバイルオーダーで商品を注文・支払いをすれば、列に並ぶ必要はない(写真:Angus Mordant/PIXTA)

資本主義社会では、「早い者勝ち」は通用しない。今や企業は自社にとって都合がいいように誰が優先されるべきかを設定し、それによって利益を生み出している。では、「早い者勝ち」以外に優先順位を決める方法はどんなものがあるのだろうか(本稿は、『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』から一部抜粋・再構成してお届けします)。

無意識に所有を主張しようとしている

私たちは1日何十回も、自分の欲しいものの所有権を誰が管理しているのか、特に考えもせずに見極めている。飲み物を買いに行く間どうやって席を確保しておくかとか、ビーチのどこにタオルを広げるかを決めるとき、私たちは意識せずに「どうやったらこれを自分のものだと主張できるか?」と考えている。社会でうまくやっていける大人になることの一部は、目の前の状況でどんな所有権ルールが適用されているのかを察知する能力にあると言えるだろう。  

多くの場合、早い者勝ちが主流だ。たとえばスーパーマーケットの駐車場では早い者勝ちがデフォルトとなっており、先に入場した車が空いている好みのスペースに停めることができる。他の方式にしたいなら、駐車場のオーナーは別のルールを誤解しようのないほど明確にしなければならない。

たとえば特定のスペースに「許可車両のみ」とか「身体障害者用」などと大書してあるのはその一例だ。ビーチでも、映画館でも、レストランでも、最高裁の傍聴席でも、そうした特別ルールは存在する。  

あなたが次回行列に並ぶときには、先頭の人が並び屋だとしたらいくらもらっているのかと想像して時間を潰すのもいいが、それとは別に、行列方式の他にどんな選択肢がありうるのか考えてみてほしい。

貴重な希少資源の所有者は、他の方式を選ばず、ひたすら行列させて先頭の人に資源へのアクセスを与える方式を選んだのだろうか。それとも特定の行動を誘導するために、早い者勝ちと何か別の方法を組み合わせるハイブリッド方式を採用しているのだろうか。

単純に早い者勝ち方式を選んだとすれば、この方式が所有者の(隠れた)目的の実現に都合のいい技術的・道徳的選択肢だったことになる。その隠れた目的は、あなたにもっと払わせることかもしれないし、相乗りの奨励や競争の回避かもしれない。あるいは、顔を青くペイントして熱狂的に応援してもらうことかもしれない。

「早い者勝ち」か「評価の高い順」か

目的を察知したら、あなたはこう自問するといいだろう。どうやったら所有権をうまく設計して人々の行動をこちらの思い通りに誘導できるだろうか。昔ながらの早い者勝ち方式が利益を最大化する最善の方法だと決めつけるべきではない。親としてあるいは教師として、自分が一番だったと自己申告した子どもに報いるべきなのか、それとも現に列の先頭にいる子どもに報いるべきなのか。

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