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40歳過ぎたら下り坂「残りの人生をどう生きるか」 稲垣えみ子×中村医師「手放すことは怖くない」

東洋経済オンライン / 2024年4月29日 12時0分

人生をシンプルに生きる稲垣えみ子さん(左)に、在宅医の中村医師が「最期を幸せに迎える方法」について聞きました(写真:今井康一撮影)

これまで1000人以上の患者を看取り、「最期は家で迎えたい」という患者の希望を在宅医として叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)。著書『在宅医が伝えたい「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』では、死を目の前にした患者が幸せな最期を過ごすためのヒントを伝える。

終末期医療に携わる中村医師には、幸せを感じる力を高める理想的な生き方を実証しているとして、目標とする人がいる。『家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択』を上梓した稲垣えみ子さんだ。50歳で大手新聞社を早期退職後、洗濯機や冷蔵庫などを手放し、モノを持たないシンプルな生活に幸せを見いだしている。

そんな稲垣さんに、人生の最期を幸せに迎える方法について、中村医師が聞いた(対談は前後編あります。こちらは前編です)。

後編はこちら:認知症の親を看取った2人の「後悔と幸せな最期」

「人生ぼちぼちよかった」って思うには

中村明澄医師(以下、中村):医師になって23年、在宅医としては約10年になりますが、終末期を迎える患者さんに「人生ぼちぼちよかったな」と思って過ごしてもらうにはどうしたらいいか、ずっと探してきました。そこで、稲垣さんの生き方にたどり着き、ぜひお話を聞きたいと思っていたんです。

【写真で見る】50歳で大手新聞社を辞めた稲垣さんが語る「40歳からの生き方」

稲垣えみ子(以下、稲垣):ありがとうございます。中村先生が患者さんのお家を訪ねる在宅医になられたのは何かきっかけがあったんですか?

中村:人を助けられると思って医師を志したけれど、現実は違っていた。病気はそう簡単には治らないということに衝撃を受けたんです。

稲垣:病気はそう簡単に治らない、ですよね。確かに。

中村:そうなんです。完全に治った!といえる病気は意外と少ないんです。そして病院に入院すると、いろんな検査を受けることになりますが、基本的に1人です。病気の原因を突き止めて治療するためには必要なことなんですけど、1人でつらい検査に耐える方をたくさん見てきました。

また、当時は終末期で呼吸が止まった場合でも、ほぼ全例、「ご家族は外でお待ちください」と、心臓マッサージや人工呼吸をする心肺蘇生を30分程度頑張っていました。でも、息を吹き返すことは難しく、処置が終わったあとで、家族は呼ばれて病室に戻ります。

稲垣:病院としては、最後まで「ベスト」を尽くさなければいけない。

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