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海外の「ホワイトハッカー育成」は何が凄いのか? 強化すべきは産官学の「人材育成エコシステム」

東洋経済オンライン / 2024年4月30日 9時0分

海外では「ホワイトハッカー育成のエコシステム」の形成が進んでいる(写真:ryanking999/PIXTA)

日本のホワイトハッカー人材のレベルは年々高くなっているものの、十数万人とも言われるセキュリティ人材の不足を補うまでには至っていない。一方、海外には参考にすべき先進的な取り組みが見られる。世界の好事例から、日本のホワイトハッカー育成において強化すべき点を探っていきたい。

【画像】海外では産官学でホワイトハッカーを育成する動きが出てきている

国と共同設立、高麗大学校のサイバー国防学科

国防策として人材育成を強化しているのが、北朝鮮とのサイバー戦が激化している韓国だ。韓国には陸・海・空の士官学校があるが、各校においてサイバー戦で通用するホワイトハッカーを養成するのは難しいと判断し、国が指定する学校で教育して将校を輩出するようにしている。

その国内初の養成機関が、高麗大学校だ。2012年に韓国国防部と同校が共同でサイバー国防学科を設立。筆者は、設立直後の2013年に現地を視察したが、印象的だったのは、「War Room」という演習部屋だ。ハッキングの模擬戦ができる環境が、民間のセキュリティ会社から提供されていた。

詳細のカリキュラムは国家機密扱いで、通っている学生もこの学科で学んでいることを他言してはならないという特殊な環境も興味深い。今も定員が変わっていなければ、毎年30名程度のエリート人材を輩出し続けていることになる。

選抜は厳しい。視察時の話では、日本の大学入学共通テストに当たる「大学修学能力試験」において志望者の上位0.1%の成績を収め、その後の大学教授や軍関係者による3日間の面接と身体検査を通過する必要があるとのことだった。晴れて合格となれば、入学後の4年間の授業料は100%免除、毎月の生活費50万ウォンも大学から支給されるという。

卒業後は韓国陸軍の将校(まずは少尉から)として任官され、7年間はサイバーセキュリティに関わる専門士官として勤務することが条件だが、この学科に入ると、韓国の若者に課されている兵役義務が免除される。

また、歴史や外交政策などを学ぶ幹部教育を実施しているが、肉体を使う軍事教練は用意されていない。つまり、戦争の前線に行く機会がないため、わが子の安全を思って親が入学を後押しするケースも少なくないという。

「イスラエルのエリート養成プログラム」を参考

同学科の卒業生は、7年間の勤務を終えたらそのまま軍に残ってもいいし、民間に転職してもいい。政府機関への特別採用の道もある。起業したい場合は、政府からの援助も保証されている。

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