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ゲーセン「大量閉店」の背後にある本質的な変容 「千円でだらだら」若者の消費欲を満たせてない

東洋経済オンライン / 2024年5月1日 12時0分

例えば、複合アミューズメント施設として知られる「ラウンドワン」は、アメリカでの事業に支えられてV字回復を果たした側面がある。また、国内店舗数はじりじりと減っている一方、アメリカ出店は増えており、国内よりもアメリカに市場をシフトさせている現状があるのだ。

また、大手ゲームメーカーとして知られていた「セガ」も、2022年にゲームセンターの運営事業から離れ、自社のゲームセンター運営をGENDAに引き渡した。この背景には、ゲームセンター市場の先行きを不安視する見方があったと考えられる(ただし、後で解説するが、結果的には「GiGO」として、好調な出店を続けてはいる)。

スクウェア・エニックス・ホールディングスの子会社である「タイトー」は、2023年にアミューズメント施設「タイトーステーション」をフランチャイズ形式で、香港に初出店することを決定した。興味深いのが、11年ぶりとなる海外出店ということ。つまり、一度撤退を決めた海外事業に、ふたたび挑戦しようとしているのだ。

いずれにしても、ゲームセンターを巡る状況は、先行きが不透明な状況だ。

苦境の理由はコスト面だけか?

この理由については、すでにさまざまな指摘がある。電力料金の引き上げや硬貨の両替手数料によるコストの増加、また、クレーンゲームの台頭によって、これまでの店舗構成では十分な利益が上げられなくなった等……。

もちろん、コロナ禍による大打撃もあった。しかし、実際、コロナ禍2年目の2021年には売上高が復活していたこともあり、コロナでの打撃以上に、このようなコスト面での問題が大きな影響を与えているといえる。

実際、帝国データバンクによれば、ゲームセンターでは、100円の売り上げに対して利益が6円というデータもあり、その厳しさがわかるだろう。

このように、コスト的な問題がある一方で、筆者は、ゲームセンターの「空間的な価値」が減少してしまったのではないか、と考えている。

「だらだら過ごす」空間としてはもう厳しい…?

最近、筆者は、筆者(26歳)と同年代か、それより下ぐらいの年齢の人を中心に、彼らが都市をどのように使っているのかを調べている。具体的には、彼らがどのような場所で滞留したり、居座るのかを調べている。

その中で感じるのは、特に若年層を中心に「せんだら」(1000円以内でだらだらできる場所)を求める人が増えてきている、ということだ。

例えば、その需要にうまく乗ることができているのが、チェーン系のカフェ。特に都内の場合、どのカフェに行っても混んでいるが、これはある程度の値段で長居することができるからだ。

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